第21話

校舎をでて、寮に向かっていた。学院長から同じ部屋だと説明されたから予想どおりだった。何かあっても対応できるようにするためだろう。俺が同室なら下手に手をだせないからな。一応学院の成績は2位だからな。エマがいない今俺が成績トップだ。まぁルナならいじめ以外は対応できると思うが。


「お兄様寮は広いんですの?今まで一人でいたんですわよね?」


「上位の成績のやつには広い部屋が与えられるから四人くらいまでなら普通に住めるぞ」


この学院は実力主義だから成績が良ければよいほど厚い待遇を受けられる。授業もし湯っせきしなくてもいいものもあるし。自由がきき、自由な時間で訓練でもしろということだろう。俺にはちょうど良い学校だ。


「そうなんですの。私もお兄様に恥じないようにすぐに上位に上がりますわ。決してお兄様評判を気にしてではないですのよ。実力のあるお兄様の妹ができ損ないと見られるのが嫌なだけですわ」


そんなに俺のことを評価してくれることに嬉しく感じる。ツンデレがちょくちょくでるのが可愛いし。これが萌えってやつだろう。可愛すぎて頭を撫でたくなる。


「そうか、まぁルナの才能なら問題ないだろうよ。古式魔法もスムーズに使っていたし。だけど才能ありすぎて古式魔法師の名家から婚約話が来そうで心配だ」


実際俺も来てたからな。結構な名門から婿養子にはいらないかと。だから婚約を急いだって言うのもある。ルナの才能ならすぐに国中にしれ渡るだろう。貴族からの婚約を断れるかどうか。


「私は婚約する気はないですの。例えイケメンでもですわ。だからお兄様が心配しなくても大丈夫ですわ」


貴族でも断れるか?貴族に返り咲くチャンスだし。まぁルナの言葉を信じよう。ルナが婚約したら俺寝込んじゃう。アイドルが恋愛発覚するのと同じ感じだ。ガチ恋まではいかないがな。

推しにたいしての愛って感じだ。


「そうか、それなら安心だ」


そんなことを話していると、寮に着いた。この学院の寮は寮も歴史があるんだよな。国の文化財になるほどだ。中に入ると、その広さにルナは驚いていた。


「思ったより広いんですの。これなら普通に住めますわね。これだけ待遇をもらえるなら頑張る気が起きますの」


すぐにルナなら上位にはいれるだろう。もしかしたら俺を越える可能性もあるかもしれない。魔法師としての才能があるやつは大抵古式魔法も才能があるし、実際に古式魔法を見て才能を感じた。


「ルナならいけるぞ。あとあまり魔法をここで使うなよ。嫉妬したやつが何をするか分からないからな」


魔法を使えるやつはここだと限られている。魔法の講義もここじゃ選択制だしな。ほとんどの人間が受けない。だが魔法にたいしてのだが対抗心は強く魔法を使える人間にたいしていやがらせとかもしてくる。まぁただの嫉妬心みたいなものだが。


「分かりましたわ。講義だけで使うことにしますの」


それにめんどくさい魔法派からも接触してくる可能性もあるしな。それだけここの国で魔法が使えることは特別なのだ。俺の親父も魔法は使えないし。大陸の国では魔法を育成するながトレンドになっているが。そもそもアラスタじゃ魔法の才能を持つ者が少なすぎて育成できてない状況だ。だから古式魔法師のレベルアップを目指して育成を大切にしている。


「そうしてくれ、今日は書類を書いて、放課後クニエスタを案内するぞ。まだみぬこの城下町のよさを伝えたいからな」


「分かりましたの。それでは私は書類を書きますわ」


そう言ってルナは机の上に書類を置き、椅子に座り書類を書き始めた。その間俺はご飯でも作るか。ニホン食でいいだろう。味噌汁と卵焼きとピーマンの肉詰めとモヤシ炒めでいいか。


俺はルナが書類を書いている間昼食の準備を始めた。するとエミリーゼも手伝ってくれてすぐに作り終わった。エミリーゼは要領がよくすぐにこの最新機器に対応をしていた。


すると書類を書き終わったルナがリビングにやって来た。


「美味しそうな匂いですわ。これがニホン食と呼ばれるものですの?」


「そうだ。前世から料理はそれなりやって来たから自信作だ」


「楽しみですの」


そう言ってルナが座ったので俺は茶碗にご飯をつぎ三つ分用意した。そしてエミリーゼと一緒のタイミングで座ると、いただきますと言って食べ始めた。


我ながらそれなりのできだ。ルナは美味しそうに食べてくれてる。エミリーゼもだ。作った甲斐があったな。そして食べ終わり皿洗いを始めた。皿洗いまでが料理だからな。


「手伝いますの。お兄様」


そう言ってルナは袖をめくった。貴族だったのに大丈夫か?自分でやったこと無いだろうし。たから俺が皿洗いをやろうと思っていたんだが。


「手伝ってくれるのは嬉しいが、何回目だ?」


「始めてですの。だから教えてくださいですの」


「分かったまず洗剤をこのスポンジにつけて、皿を水で軽く洗ってスポンジで擦る。そうして綺麗になったら流す。これの繰り返しだ。やってみてくれ。俺は隣にいるから」


そうしてルナは俺の言った通りに綺麗に洗った。料理も今度教えるか。うまくできそうだし。それに女子の手作り料理は食べてみたいし。エマは作れなかったからな。



















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