第16話

「おお久しぶりだな。ミキよ」


俺は店にいる人をみると武器商人アザールさんだった。エルフだから若々しく顔立ちが整っている。ここまで整っていると嫉妬する気も起きない。聞いた話によるとエルフの中でも美形らしい。ルナとられないよね?


「久しぶりですアザールさん」


「そうだな、それで新しい刀と呪符が手に入ったんだが買うか?今なら安くするぞ」


刀に魔法をかけると便利なんだよな。斬激飛ばせるし、炎をまとわせて相手を燃やすこともできる。対魔物じゃかなり役に立つ。剣術も少し心得ているし。

 

「買っていきます。それで呪符何の呪符なんですか?」


「それが何かの式神みたいでな。魔力が邪魔をして封印が解けないんだよ。だかミキならなんとかできるんじゃないかと思ってな」


いやそれ危ないやつだろ。封印するほど強力ってことだよな。なにか悪さでもしたのか?だが気にならないと言ったら嘘になる。買うか。暴れたら調伏すればいいし。最悪ルナに手伝ってもらえれば問題ないだろう。


「買い被りすぎですよ。古式魔法師は封印を解くのは得意ですが、さすがにこんな魔力がつまっているのは出来るか分からないですよ」


「まぁやってみてくれ。無料であげるから」


分かりました。俺は急いで呪符を書いてそれを呪符に当てて呪文を唱える。


「我神に支えしものなり、封印を解きたまえ、常世の扉を開けオンタビラソワカ。我の前に姿を現せ。急急如律令」


すると呪符は輝いた。そしてバリという音がしたあと一人女性のシルエットが現れやがて姿を現した。黒いストレートな長い髪にパッチりとして目、高い鼻、そして特徴的な耳、上品な雰囲気を漂わせているエルフだった。


「あれ私はご主人様が負けて、封印されたはずじゃ。魔王どもは許さない、ご主人をいたぶって殺したことを」


すると、禍々しい魔力をまとっていた。エルフの中でもハイエルフ並みの魔力だ。そりゃ魔王も封印するわけだ。これだけの魔力を持っていると害をもたらす可能性があるからな。


「その封印を解いたものだが、魔王を一人で倒すつもりか?」


「そうだよ。魔王はこの手で倒さないとご主人様に報えない。それでお礼をしたいんだけどなにがいいかな?」


「なら俺の式神になってくれ。一人じゃ魔王は倒せないだろ。俺が協力する」


「君が私の殊勲に値するかテスト受けてもらうよ」


「分かった。それで何をやればいいんだ?」


「あそこに黒龍がいるからそれを倒したら認めるよ。まぁ負けても知らないけど」


「受けさせてもらう。ちょうど試したい古式魔法があったんだ」


「ご主人様と一緒の魔法師ね」


店主にお礼を言って馬車のあるところに俺達は向かった。その間キョロキョロと周りを見ていた。そんなに前から封印されていたのか?見た感じ服装も見たことがない。教科書で見たことのある服装だ。しかもかなり古い。  


「ここも変わったね。昔はあんな立派な城なんてなかったよ。それに町もあまり見たことない屋敷が並んでいるし」


「あれは武家屋敷っていうんだ。結構中は広いんだ」


「なんかご主人様の服装と合いそうだね」


武家屋敷に合うって和服だよな。てことはそのご主人様は転生者か。しかも大分前の。すると俺の買った刀をじっとエルフは見ていた。エルフが武器に興味を持つとは珍しい。


「それ私のご主人様が使っていた刀だよ。名刀時雨というらしいよ。それを持っているなら簡単に死ぬことは許さないからね」


「倒す秘訣があるから大丈夫だ」


「お兄様黒龍は最上級に匹敵するほどの強さですわよ。死なないてくださいの」


ルナを置いて死ぬわけないだろ。それに親父から渡された魔法書なかなか使えるのが多かった。特に対魔物では最強クラスのものがある。魔力は相当使いそうだが、それくらいどのみち使わないと黒龍など倒せない。


「死なないから安心しろ」


そう言って頭を撫でた。すると顔に赤身が帯びる。そんなに照れることかね。俺は鈍感系主人公じゃないからそのくらいは分かる。しかもツンデレなことも知っているし。


一通り撫でると着いたよと言って馬車を降りた。禍々しい霊力が漂っている。今からボス戦に挑む気持ちだ。緊張感が漂うが、俺は落ち着いていた。勝つ自信があるからだ。少し歩くと洞窟に着いた。


「ここだよ黒龍のいる場所は」


するとぎろりと俺を睨む視線を感じた。するとゆっくりと洞窟からその巨体現した。黒いキラキラと光る鱗がついていて、一ヶ所だけ傷がついているがそれがまた強者のオーラを一段と纏わせている。


「何のようだ?それにお主封印されたはずじゃないのか?」


「この子が封印を解いてくれたんだよ。それで式神なってほしいというから黒龍に勝ったらいいよと言ったんだよ」


「そこの若造になんと無茶な試練を出しておるのだ。最初っから式神になるつもりなどなかろう」


「うんそうだよ。だからちゃっちゃっと戦って終わらせて」


「運が悪いのうそこの若造ぞうよ。あやつの主人への忠誠心は相当なものだからな。それじぁやるぞ」


ぐおーと炎をを上にふきそれが何個かに分かれて俺に振りかかってきた。それが戦闘の合図となった。
























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