第32話

それから俺達は教室戻ると、ルナに軽蔑の眼差しを向ける奴はいなくなっていた。クラスメイトからは避けられていたが。恐怖の対象にみられているのだろう。あれだけの古式魔法を見せれられて、さらに罪人の娘だと分かればそうなるか。


「お兄様、放課後楽しみですわ」


ルナは気にしてなさそうだが。むしろ変な奴が近付いてこない分居心地がいいんだろう。前の学校では男がよく近付いてきたと愚痴っていたしな。ソレイユ様の婚約者でもトラストの貴族は近付いてくるのかと驚いたものだった。王族の婚約者だぞ告げ口したら間違いなく学院にいられなくなると思うんだが。


「思ったんだが、ソレイユ様がいたのに男にナンパされていたんだよな?それソレイユ様が聞いてどうだったんだ?」


瑠璃は少し機嫌が悪そうになって言った。ああ地雷踏んだか?


「ソレイユ様は婚約者が言い寄られても嫉妬などしないですの。奔放主義と言いか、溺愛しなきゃ縛ったりしないですわ。元々私の家柄を買っての婚約だったと言うのまあって愛されてなかったんですの。ひどい話だと他の男に寝とらせてそれで興奮していたくらいですの」


屑じゃん。そんな設定ゲームにもラノベにもなかったぞ。細かい設定はソレイユ様について省かれていたからな。そんな屑だと知らなかった。大丈夫かエマ。あいつ潔癖なところがあるからな。


「まぁそいうことがあっても愛してた私が愚かだったですの。でも二度同じ間違いはしないですわ。もっと私を愛してくれる人を探しますわ」


そう言ってチラッとこっちをみた。俺もその対象に入ってるってことか。だがまだ対象でしかない。つまり候補でしかないということだ。押しの幸せを一緒に探すか。俺じゃ役不足だからな。


「そうだな、一緒に探すか」


「お兄様は大事な妹を誰かにとられることはいいんですの?」


「大抵の男は追い出すが、ルナが選んだ男なら受け入れる。一発殴ってからな」


「どこのお父様ですの!」

 

「それでなこ言うことを言うんだ。ルナ持ってきたいなら俺を倒してからいけ。無理だったらルナはやらんってな」


「だからどこのお父様ですの!それにお兄様に勝てる同世代などほとんどいないですの」


おお、いい突っ込みだな。たまにはボケてみたかったんだよな。まぁ言ってることは本音だが。実際には試すだけだがなけだがな。自分の好き人のために強敵に戦えるかのな。


「まぁ本当に倒せとは思ってない。覚悟をみたいだけだ」


「覚悟ですの?」


「ルナを守るには強敵が立ちはだからだろうからな。そ言う奴から守るだけの強い意思があるのか。どんな手を使っても守れるのか。まぁあれだ強者に挑めない軟弱ものには妹はやれないってことだ。それが最終的にルナに恨まれることになってもな。俺はそれでもルナのために動く」


例えこの世界が敵になろうと、ルナは守って見せる。それが俺がルナを家族に迎え入れた責任だとも思ってる。まぁ推しっていうのもあるけど。 


「フフそれならそれまで私を守ってくださいですわ」


そう言って肩に頭を預けた。なにこれめっちゃ可愛いんですけど。キュンと来たわ。俺はルナの頭を撫でた。すると気持ち良さそうにルナは目を細める。


「ああ、何があっても守ってやる」


そうやってしばらく撫でていると、嫉妬視線を周りから受けていたが、気にならなかった。ルナはそして挑発的な笑みを周り向けてやった。まるでお兄様は自分の物だよ言ってるかのように。そんなことしなくても俺はそんなにモテないがな。ルナは相当ブラコンになったようだ。


そうしてしばらく撫でたあと、俺達は教室を出た。そして私服にでも着替えるかと寮に向かおうとしたらルナに袖をつかまれた。なにそれ萌えるんだが。やべ顔がにやけちゃいそう。


「どうしたんだルナ?」


「制服のままでかけたいですわ。制服デートみたいで憧れでしたの」


ルナは目をキラキラさせて言った。この世界にも制服でーという概念があるのか。しかも憧れるってことはやはり女子からしたら一種の流行なんだろう。エマはそいうのに疎かったが。


「いいぞ、制服でデートなんて限られた時間しかできないからな」


「それじゃいきますの!」


そう言って俺の手をつかんだが、ルナは勘違いしないでくださいですのと言ってこう言った。


「これは迷子にならないためですわ。あまりにも観光客が多いのですからですわ」


ツンデレだな。やっぱり萌えるな。可愛すぎて天使かと思っちゃうわ。ああしかも手はすべすべ。ルナをみると少し顔を赤くしている。照れているな。


「そうか、それなら仕方ないないな」 


「そうですの。あ、あのタピオカと呼ばれるものがクラスメイトの女子から流行ってるって言っていましたわ」


あれこの世界にもあったのかよ。まさ女子高生も転生してるのか。男であれに興味持ってるのはあんまりいなかったし。それにあれは台湾で生まれたものだし。ルナはタピオカをみて可愛いですわと言っている。まぁ日本でもおしゃれな人が好んでいたからな。


「それじゃあれを買うか」


俺達は列に並んだ。その間にメニュ表を渡されたんだが、おもったより種類が多かった。本格的に好んでいた奴が転生したみたいだな。じゃないとここまで種類が多いことはない。それにしても移動しきなんだなここの店。馬が繋がっているし。運が良かったみたいだ。それにあっちと同じで高等科の人が多い。
























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