第6話
「魔物って食べれたんですのね。しかも意外に美味しいですの」
しかも魔力があるから魔力の補充にもなるしな。うちの国じゃよく食べる。古式魔法は魔力の消費が激しいからな。食べて補充してまた戦うっていうのがセオリーになっている。
「肉は柔らかいしな。今回のケルネスタは美味しいことでも有名だからな。まぁ捕獲難易度は高いがルナがいたから簡単に捕まえられたよ」
ちょっと持って帰って母さんに料理してもらおう。ステーキとか最高だしな。ブランド肉にも勝るとも劣らない味だ。うちの国の伝統料理もこれを使ってたりする。
「それはよかったですわ」
「ところであんなに高難易度の魔法を使えるのに、なんで盗賊達に遅れをとっていたんだ?」
「お腹がすきすぎて魔力の回復が遅かったんですの。その前には魔法師団と戦いながら逃げていたんですの」
魔力は精神状態や三大欲求のどれかがかけると回復が遅くなるといわれている。そのうちの食が欠けていたのか。ソレイユ様も第一婚約者には甘いんだな。そんな嘘に騙されるなんて。このレベルの才能は国としての損失はでかい。
「そうか、よく頑張ったな」
そう言って滋しむようにルナの頭を撫でた。本当によく頑張って生き抜いてくれた。精神が折れかかったこともあっただろう。それでも懸命に生きてくれた。そのお陰で俺はこうして推しと出会うことができた。
「決してあなたみたい優しい人に会うためではないですの。ただ生きて親の無実を証明するためですわ」
照れてるな。顔が赤いし。頭をそんなに撫でられたことがないのだろう。俺はエマによくこうして撫でていたからどいう撫で方がいいのが分かってる。
「それにしても反逆罪なんてイチ婚約者の進言で決まるものなのか?」
「第一婚約者はあの国を牛耳っている公爵家の出身ですの。それに王子もソレイユ様も溺愛してるので簡単に決まってしまったんですの。いやがらせもできなかったですの」
それを聞くとルナよりよっぽど悪役令嬢な気がするが。権力が集中すると何でもし放題なんだな。うちの国は地域ごとに独立に近い権力を持ってるから独裁ではない。俺の住んでいる地域では古式魔法師の貴族の大家が権力を持っている。うちの家も次点で権力を持っている。政治には介入しないが。
「それより養子入りってそんな簡単に許可されますの?罪人の娘なんですわよ」
「うちの両親なら歓迎するぞ。罪人って言ってもトラストではだからだ。バレなきゃ問題ない」
それにしてもエマの両親が心配だ。うちの両親はエマの家に危害は加えないが、周りが忖度する可能性があるから、野菜を買い取ってくれない可能性がある。それは後で対策は考えておこう。
「そうなのですね。それでお願いなんですけど、古式魔法を見せてほしいんですの」
「ぐぁぁぁぁ」
「いいぞちょうどゼイルが現れたみたいだしな」
見かけはトリケラトップスみたいな感じだ。角での攻撃の威力は高い。こっちに突進しようとしてるな。それじゃ呪術を使いますか。俺呪符を持ち呪文を唱える。
「邪を焼き払いたまえ対象物を燃やしつくせ」
印を結んで魔力を呪符にこめた。すると火が呪符から飛び出し火でゼイルを囲みそのまま包んだ。火の呪術は威力がでかいからな周囲の木も焼き払う。するとゼイルは断末魔をあげることなく骨になった。
「すごい威力ですわね。しかし一連の動作を考えると確かに魔法の方が早いですわ。これが古式魔法が衰退した理由なんですわね」
「まぁそいうことだ。マッカンを取ってくれ」
「これですわね。やっぱり疲れた後は甘いものをとりたくなるんですの?」
俺はマッカンをプシュっと開けると、そのままガブガブ飲んだ。ふぅー甘さが染み渡る。これのために生きてるって言っても過言じゃない。また10箱ぐらい取り寄せるか。
「これは魔力を回復させる効果もあるんだよ。イッキ飲みするとある程度回復する。まぁもちろん飲んでいる理由は単純に美味しいからだが」
「魔力を回復させるものがポーション以外でもあるんですの!しかもこんなに美味しい飲み物で。ニホン恐るべしですわ」
あそこはトラストに負けないくらい文明が発達している。権力を握っているのが、俺と同じ転生者なんだろう。できれば今後のためにもアポをとりたい。
「ニホンはすごいからな。というか俺の前世と避け似た国なんだよ。恐らく転生者が関わっている」
「それは気になりますわね。今度一緒に行きましょう。決して一緒に出掛けたいとかそんな理由ではないですわ」
多少の好意でもこれだけツンデレが発動するんだな。好かれたらもっとツンデレが出るんだろうか。なにそれめっちゃ嬉しいわ。ツンデレのレベルによってどれだけ好かれてるが分かるこってことだな。
「そうか、呼び方は俺の方が年上だがどうする?」
「お兄様と呼ばせていただきますわ」
いいねえーお兄様呼び。胸キュンしちゃったわ。これがラブコメ。それからルナと話しているとあっという間に次の日になりそしてまた次の日になった。ルナもこの頃にはすっかり顔色はよくなったっていた。
「着いたぞ。ここがアラスタだ」
俺の住んでいるところはここから六時間くらいだ。とにかく魔法師団に襲われなくてよかったわ。追手がきてたら逃げるのは厳しい。トラストの魔法師団はレベルが高いからな。魔力補給もあまりできないしな。マッカンをそんなに持ってきてないから。無事着いたしいいか。
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