第46話

それから入院中練習を重ねて、腕の付近までは霊力を馴染ませコントロールすることができた。退院したら体全体でできるようにして、さらに魔力を周囲に飛ばせれば無限に霊気を当てることができる。

 

そしていよいよ退院の日だ。ルナやエミリーが来ることになっている。なぜエミリーか来るのかはなぞだが、荷物を持ちますよぉーと上目使いされたら断れる男はいなかろう。


俺は着替えた。最初は四苦八苦していた着替えも今じゃスムーズにできる。まだ腕とあばら骨は折れているが、後一週間ぐらいでくっつくとのことだ。


「お兄様ー来ましたの」


「私も来ましたよぉー」


「よく来てくれたな。これ荷物だ。女子に頼むのは気が引けるが、頼むわ」


一人で持てないから仕方がない。片手は使えないし。もう片方しか腕は使えないしな。これじゃ印もきれないから退院しても一週間は休みだな。魔力を霊力と馴染ませるのを主な練習にしよう。


「頼まれましたわ」


「分かりましたよぉー」


本当は転送魔法使えればいいんだが、利き手を怪我してるから無理なんだよな。だからルナ達に頼りざるおえない。ルナ達はなぜか嬉しそうに持っているが。そんなに嬉しいことあるか?


「なんでそんなに嬉しそうなんだよ」


「頼られるのが嬉しいんですの」


「いつも何があっても自分で解決しちゃいますからねぇー」


そりゃ一人の方が効率がいいときもあるからな。だが頼られるだけで嬉しく思ってくれるなら今度からは頼ってみるか。俺は笑顔がみたいしな。頼ることは簡単なことではないが、いきなら倒れるよりはましだろう。


「これからは頼るぞ。寮まで荷物お願いな」


そう言いうとはいと言って進み始めたので俺も歩き出した。病院食以外のものが食べたくなってきた。何を食べよう。味が濃いのを食べたいな。らーめんとかどうだろう。


「ルナ達らーめん食べに行かないか?」



「いいですわ食べに行きますの。場所は決まってますの?」


「雷門だ。あそこの辛味噌は美味しいからな」


今は激辛を食べたい気分だ。あそこなら辛さを調節できるしいいだろう。それにエミリーも辛いもの好きでよく辛いのを食べてるからちょうどいいだろう。エミリーは俺よりも辛いのを好んで食べている。ちなみに甘いのも好きだ。俺もだがな。マッカンとか至高の飲み物だ。


「そこに行きますの」


「私も辛いのが食べれればどこでもいいですよぉー」


「決まりだな。城の近くにあったからそっちに向かおう」


今から辛いのを食べれるのでワクワクだ。激辛ほど美味しいものはない。それに辛いのを舌が求めているし。この後にマッカンが余計に甘く感じて最高なんだよな。


そして俺達は城の方に向かった。城の方に行くにつれ西洋風貴族の服装をした人が増える。まぁここは貴族が住んでいるところだからな。いわゆる高級住宅外だ。城を家から見えると評判がいいからなんだが。なんでそこにラーメン屋があるのかはなぞである。


「着いたな」


「貴族が住んでいるところなだけあって立派な屋敷ですの」


ルナは貴族でも武家屋敷にはそこまでなれていないから飲食店に武家屋敷があることに驚いている。エミリーはそうでもないが、アラスタには結構な数の飲食店の武家屋敷はあるからな。


なかにはいると気持ちいいくらいのいらっしゃいませが聞こえてきた。どうやらニホン食はいらっしゃいませを徹底してるらしい。中にはちらほらと貴族が見える。貴族もらーめん食べるんだな。高級料理しか食べないもんかと思っていたわ。


「激辛味噌ラーメンにするか」


「私それにしますわ」


「私もそれにしますよぉー。一番辛いやつで」


ここのらーめんは一番辛いのは相当辛いと聞くが、まぁエミリーなら問題ないだろう。エミリーはアラスタの激辛選手権で準優勝したし。舌がおかしいんじゃないってくらいだしな。


「それじゃメニューお願いします」


「はい今行きます」


そう言って一人の巨乳を揺らしながら、美少女の店員が来た。ラーメン屋にこんなにかわいい店員がいるのかよ。貴族もそれ目当て感は否めない。


「激辛味噌ラーメン辛さ3を二つと辛さ6をひとつ」


するとそれ聞いたお客さんの視線がこっちに集中する。まぁ常連ならここの激辛味噌ラーメンの辛さについては熟知してるだろうからそりゃ驚くよな。


「あのーここの激辛味噌ラーメンは相当辛いんですが、大丈夫ですか?ちなみに誰が食べるんですか?」


「私ですよぉー」


「あんな美少女が激辛を食べるだと!」


「人は見た目によらないな」


「辛いもの好きかもしれんがここの早めておけ。他の比じゃないぞ」


様々な声が聞こえる。まぁ見てれば分かるぞ。エミリーがどんだけ辛いものが好きなのか。しかも食べるのが早い。ペロリと10分もかからず食べちゃうからな。


「あの大丈夫ですか?」


「問題ないですよぉー。辛いの好きなんです」


「それじゃ激辛らーめん辛さが3と6ですね。少々お待ちください」


そういうと店員はメニュー伝えに行った。その時何人かの貴族は巨乳に目がいっていた。やっぱりあの店員目当てなのが何人かいるんだな。まぁ美味しいというのもあるんだろうが。


















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