第4話

出発してすぐに魔物反応感じた。このスキルは神様が与えてくれたスキルのひとつだ。察知能力が上がる。2体かこのくらいなら炎の魔法で焼くか。


「テュールビロン.デュ.フランメ」


炎の渦が魔物を包む。だんだん焼けてきて身が焦がされる気分だろう。断末魔をあげて魔物は塵となった。それからも魔法を使いながら魔物を倒していき、二日後トラストに着いた。


「急いで探さないとな。もし国の敵と認識されてるなら隠れる場所は路地裏か」


人気ががあまり多くない路地裏を探した。なかなか見つからないな。お腹も空いてるだろうし。早く見つけないと。襲われる前になんとしても探す。


「やめてくださいの。近寄らないでください」


「へへやめるわけねーだろ。こんな美少女をなんの罪にもならず犯せるんだからな」


この声は何回も聞いた。間違いなくルナの声だ。襲われる前に見つかってよかった。とりあえずあいつらを焼くか。呪符を取り出し呪文を唱えて投げる。すると炎のが男達に燃え移り慌てる。そのすきにルナの手を取ってここから逃げ出す。


「はぁはぁなにも食べてないで走るのは堪えますわ」


「これはおにぎりだ。食べろよ」


「久しぶりの食べ物ありがたくいただきますわ」


美味しいですわ!とか言ってあっという間に食べ終わった。おにぎりでそんなに美味しく感じたならずっと食べてなかったんだな。処刑されて二日これを空腹で耐えるのは辛いな。


「助けてくれてありがとうございますの。でも私と話してると罪人だと思われるのでこれでおいとましますわ」


「大丈夫だ俺はトラストの国の者じゃない。それとルナを助けに来たんだ」


「なぜ私の名を?」


「信じられないかもしれないが、俺は異世界から転生したんだよ。それでどうしてもルナを助けたくてな」


まぁ普通だったらなに頭のおかしいこと言っているんだと思うよな。俺はいきなりそういわれたらそう思う。だが助ける理由がこれしか思い浮かばなかった。するとルナは目を見開いて驚く。


「異世界ですの?それに名前を知っているってことは私の世界も知っていたってことですの?」


「そうなるな。小説でこの世界があったんだよ」


さすがにゲームのことを言っても伝わらないから小説のことを言う。これならこの世界にもあるから伝わるだろう。そもそも信じてるか分からないが。自分達の世界が人によって構築されたものだと信じれるものは少ない。


「信じますわ。あなたは私の恩人で、嘘をついているように見えませんし」


「そうか、それでうちの養子に入らないか?」


それが親を失くしたルナへの後ろ楯になる。貴族は他の国に行くことは禁じられてるが、ルナは追放され元貴族だから大丈夫だろう。それに妹ほしかったしな。


「いいんですの?他の国とはいえ罪人の子供ですの」


「正室に嵌められたんだろ嫉妬して。身の潔白はそのうちされるはずだ。まぁ数々の他の婚約者に対する嫌がらせはかばえないが」


ルナは端から見れば悪役令嬢だ。だが本当どうしても好きな人を他の女子に取られたくないだけなのだ。つまり嫉妬深い普通の女子だ。俺はエマに対する好きな心も残っているが、いつまでも引きずっても仕方ないし、ルナに対する感情も思い出した。推しには幸せになってほしいからなそのためにはなんでもできる。


「あまりにいちゃいちゃするからですわ。そういえば六人目の婚約者の人はすぐにあの優しさに落ちてましたわね。他の国から来たとうかがっていたけれどあなたの国ですの?」


やっぱり面食いだからすぐに落ちたか。最初っから俺が好きだった訳じゃないだからな。どっちかというと好きって感じだからな。面食いのエマならあれほどのイケメンならすぐ落ちるだろう。予測していたとはいえ胸が痛いな。


「そうだ俺の元婚約者だ」


「それは失礼しましたわ。好きな人を取られる人の気持ちは分かりますの」


ショックすぎて前世の記憶を思い出したくらいだかな。まあそのお陰でルナを救えたんだからよかったといえるだろう。確かに傷つきはしたが。


「まぁその事は気にしないでくれ。とりあえずトラストからでるぞ。ルナの顔は知られているだろうからな」


「そうですわね。早くでた方がいいですわね」


それからフードを買いそれをルナに被せて、馬車のあるところまで来た。馬を見ると、ルナは驚いていた。まぁ結構いい馬だからな。競馬にもよくでる種類の馬だし。


「あなた貴族ですの?」


「いやお金持ちの平民だ。豪農と言った方がいいか」


実際地元の名士だし。コネクションも結構ある。それは国に及ぶくらいの。それでも貴族になるのを拒んで、平民でいる。貴族だと政治にか関わらないといけないからそれが面倒だというのが理由だ。


「そうなんですの。学校に通うことはできますの?」


「ルナは除籍処分を受けてるはずだから転入みたいなことはできないからな。地元の学校ならできるかもしれないが。俺と違う学校だからなー」


王立だからさすがにコネで入るのは貴族じゃないと厳しいからな。そした途中で買ったおにぎりを渡す。するとルナはそれを受けとり美味しそうにほおばった。それにしてもなぜ日本の伝統的な料理があるんだ?もしかして転生者他にもいるのか?そんなことを考えながら馬を動かした。


















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