陰キャぼっちの俺は学校中の全男子を夢中にさせている美少女に告白されたが『嘘告白』だったので丁重にお断りさせていただきました。〜その上、彼女の裏の顔を知ってしまった結果付き纏われるようになってしまった〜
社畜豚
第1話 陰キャぼっちと嘘告白
きっと、どのクラスにも居ると思う。
クラスの中心となる人達。
クラス内でひとりぼっちで浮かれている奴。
俺、
友達も居ない。
部活にも所属していない。
学校に居場所がない。
勿論、言うまでもなく彼女なんて居たことがない。
小学校の頃までは勝手に友達が出来ていた。
だけど……中学時代。俺は間違えた。
こう見えて、俺は神童と言われてるほどの天才だった。
優れた身体能力・洞察力を駆使して勉強でも、芸能でも、武道でも、ありとあらゆるものに手を出し無双しまくって、数多くの金賞やトロフィーを掴み、頂点を取ってきた。
これでみんなからちやほやされるだろうと息巻いた結果。
ちやほやされるどころか周りからはやべぇ奴扱いされたり、妬まれたりと完全に孤立。
今思ったら自分は天才肌だと、才能のひけらかすイキリ野郎だった。
痛々しい黒歴史の完成である。
その反省を生かし、高校こそは同じ失敗は繰り返さない……高校生になったら絶対友達作るんだぁぁぁぁ!!
実力を隠し、慎ましく、『誰かが話かけてくれるだろう』と待ちの姿勢を貫いた結果……
行きたくなさすぎてサボった体育祭。
一人で回った文化祭。
そもそも友達が一人も出来なかった1年間!!
スマホに届くのは親からのメッセージかクーポンかニュースだけ。
現在、高校2年生、友達0人、クラスで孤立している陰キャぼっちである。
いや、わかってるよ……他力本願で上手く行くはずないって。
でも、それを気づいた頃にはもうクラス内でグループが出来ていたのだ。このクラスの人達とは気が合わなかった。そう考えることにした。
朝、俺は教室でいつものように机に突っ伏して、寝たふりをしている。
「みんな、おはよ〜」
甘ったるい声が教室中に響き渡り、クラスの男子全員の視線が教室の扉に集中する。
その先にはとびきりの笑顔で小さく手を振る美少女が居た。
童顔、巨乳、ゆるふわなボブヘアーにふんわりとした可愛さと天使の様な微笑みに誰もが目を奪われていく。
彼女の名前は
この学校の男子全員を夢中にさせている学校一の美少女である。
彼女は自分の可愛さを自覚しているタイプの子で言動もあざとい。
しかし、男子というものはみんな『あざとい女の子』が大好きなので虜になってしまうのだ。
黒宮寧々は間違いなくクラスの中心の一人だろう。
俺とは正反対の存在だ。
ある日、いつものように通学した俺の靴箱にあるものが入っていた。
ピンク色の洋封筒み三角型の開封口の頂点にはハートマークのシールが貼られている。
……これ、ラブレターじゃね?
…………
…………………………いや、待て。喜ぶのはまだ早い。
陰キャでコミュ障でぼっちの俺がいきなりラブレター? ありえないだろ。
えっと、宛先は裏に書いてあるのかな?
どうせ、間違えて隣に入れてしまいましたーとかそういうオチー
『佐藤十兵衛くんへ』
お、俺宛だっ……!
い、いやぁ……イヤフゥー!!
ま、待て……ここでテンションを上げるのはまだはやフゥー!!
誰からだろうと期待して封を開けると女の子らしい丸っこい文字で綴られていた。
佐藤十兵衛くん。
突然のことでびっくりさせてごめんなさい。
でも、この気持ちを抑えることができなくてお手紙を書かせて頂きました。
君は気がついてないかもしれないけど、私、佐藤くんのことずぅーと見てたんだよ?
その大人びた姿を見てこの人は他の男子とは違うなぁって。思ってた。
誰にも渡されたくない。
君のかっこいいところを独り占めしたい。
そう強く思ったの。
あなたに伝えたいことがあります。
だから放課後、屋上で待ってるね♡
うおおおおおおおおおお!!
黒宮寧々♡
………………
名前を見た瞬間、一気に冷静になった。
……もしかしたらイタズラか何かかもしれないな。と
黒宮寧々みたいに全男子を虜にしている学園のアイドルからのラブレターとなると現実味がなく、イタズラとかそういう疑いを持ってしまう。
放課後、期待しながら屋上に行っても痛い目を見るかもしれない。
そう思った。
放課後。
一応、俺は屋上の扉の前に来ていた。
いや、一応。一応ね?
このラブレターが本物だったら黒宮をを待たせてしまっていることになるし?
たとえ1%の確率だとしても万が一ということがある。だから、確認くらいは必要なんだ。
屋上には誰もいないことを覚悟しながら、いつもかけているメガネを外して俺は扉を開けた。
「あ……! 佐藤くんっ」
屋上の扉を開けたその先には嬉しそうに笑う黒宮寧々がいた。
「あの……本物ですか?」
「えっと、一応本物だよ〜?」
少し戸惑いながらも黒宮はくだらない質問に答えてくれた。
「で、ですよね……すいません。変なこと言って」
「ううん。全然気にしてないよ! 佐藤くんって面白いねっ」
くすくすと可愛い微笑みを見せる黒宮。
う、か、かわい〜
「えと、来てくれたってことは……手紙、見てくれたんだよね?」
「は、はい」
恥ずかしそうに目を逸らす黒宮にドキッとして思わず背筋が伸びる。
俺は告白もしたことがないし、されたこともない。だけど、この空気は今から告白されると感じ取った。
目を潤ませ、頬を赤くしながら黒宮は俺の顔を見て言った。
「佐藤くん。あなたのことが好き。私の恋人になってくれる?」
俺は人の嘘を見抜くことが出来る。
相手の微妙な表情の変化・声のトーン振る舞いと直感と経験で。
どうして今、そんなことを説明するのか?
それは今、黒宮寧々が『嘘』をついているからだ。
曇りガラスのメガネを握る手が強くなる。
どういった理由でこんなことをしているのかはわからない。
わかっていることは1つ。
俺は学校中の男子を夢中にさせている美少女に『嘘告白』されてしまったのだ。
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