理系女子大生、異世界でメートルを作る

単位の換算、分からなくなりますよね。
私もリットルと立方メートルの換算のたびに水の重さで、1cm^3=1mL=1gという計算をしています。
度量衡が統一されていなければ単位がたくさんあって、単位の数だけ換算の必要があって……やだ。考えたくない。

転生したシャルさんもその不便さから単位の改革をしようと一念発起しますが、数々の困難が立ちはだかります。

文化的背景、身分による考え方の違い、とりあえずうまくいっている今を変えることの恐れ。
様々なことを考えさせてくれる作品です。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（110文字）

現実世界ですら、ややこしいヤードやインチや寸尺の単位を全てメートルに統一して欲しいと願った方はかなり居られるはず。
本作は、そんな人たちの心を代弁するかの様に跳梁跋扈する単位との戦いです。そして、それを志すきっかけもまたシリアス。
派手な戦闘ではなくインテリジェンスな理屈の戦いを楽しめることでしょう。

知的好奇心をとにかく満たしてくれる、理系女子による異世界での単位統一物語！！
主人公のシャルが、ひたすらカッコイイ。理論立てて語り、お偉方の舌を巻かせる様子はまさに《賢いヒロイン》そのもの。
理系要素だけでなくストーリーもしっかり組み立てられていて、わかりやすい説明が組み込まれているおかげですいすいと読み進められる。
単位から、ここまで世界が広がるとは。脱帽です。

まさに偉業への第一歩という内容でした。
転生して記憶を取り戻した10歳の少女が、あることをきっかけに異世界で普及しているややこしい単位を統一する物語。

単に『面倒だから』、ではなく単位を定義するまでのシナリオにきっちりドラマがありキャラクターの心情に共感できますね。動機を明確にすることでストーリーの流れがわかりやすかったです。

しかしメートルを普及させるまでの道のりは長い！
知識があっても現地人に受け入れられるかは別ですからね。
そういう意味では、今作のヒロインは確かに『賢い』人物だと思いました。

面白い、おすすめです。

現実世界にも沢山単位がある。
距離を測るにしても、ヤード、メートル、フィート、一尺。
温度や、重さに関しても、国ごとに使用してる単位が違うのだ。
今回、主人公・シャルが転生した国ではなんと、たくさんの単位が使用されており、国の中にですら統一出来てない状況。
しかも、その単位も尺度がまちまちのもので、単位として機能してるのか怪しいものもある。

この統一出来てない状況で、シャルはたくさんの不都合を経験し、これではいかんと立ち上がるお話である。
めちゃくちゃ頭が良い上に、行動力のあるヒロインに、正直爽快感しかない。

このお話では、理系的なお話が沢山出てくるが、知識からっきしの私でも理解できる内…続きを読む

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物理学を専攻していた野乃は、フランベネイル王国はペリランド商会の娘・シャルリーヌに転生した。
そこで出会ったのは、数多ある統一されていない『単位』たち！

ゴーロン、ロンス、トルーラ、リテーラ、ベクタ、マイント……、とにかくこの世界は単位が多い！
異世界ものでおざなりになってしまう、この『単位』に焦点を当てた本作は、主人公のシャルが、ある出来事をきっかけにして単位の統一を図ろうとする物語。

本作では、この独特な単位たちがどのように生まれ、日常でどのように使われ、人々はそれに対してどのように思っているのか、事細かに描いています。
現実でも、単位は至る所で当たり前に使われています。
そのためか…続きを読む

1センチは10ミリ、1分は60秒、1キロは1000グラム、1リットルは10デシリットル……ああ、これだけで頭が痛くなってきた。

異世界の単位なんて、きっとさらに複雑なんだろうなぁ……。
よく異世界ファンタジー作品に単位の説明が出てきますが（1ゴードは１円みたいな）、こちらの作品では呼び名が複数あったり、同じ単位でも１単位当たりの換算数が地域によって違っていたり……とにかく、計算しなければならないことが多い！

前世で理系大学生だったシャルは、その時の計算の速さを活かして商人である父の手伝いをしながらなんとか異世界生活を切り抜けていきます。
ただ、単位がゴチャゴチャしているせいでとある重大な…続きを読む

ヤード、ポンド。マイル、フィート。
よくわからんと嘆いたことはないだろうか。アメリカの映画とかで。
さらにいえばダースのように12進数の単位もあるような世界。
それも町ごとに違う。そんな理不尽なことはない。
古くは日本でも田んぼの単位の統一は正確な税収に必要不可欠だった。
そんな単位の統一という一大事業をとある深刻な出来事で決意する地方都市の大きな商家のヒロイン。
しかし馴染みの単位から移行させるのには様々なシガラミがあるのは想像に固くない。
ヒロインはどうやってこの先、説得させ普及させていくのか、大変興味深い。
続きを早く読みたいところだ。