現実世界にも沢山単位がある。
距離を測るにしても、ヤード、メートル、フィート、一尺。
温度や、重さに関しても、国ごとに使用してる単位が違うのだ。
今回、主人公・シャルが転生した国ではなんと、たくさんの単位が使用されており、国の中にですら統一出来てない状況。
しかも、その単位も尺度がまちまちのもので、単位として機能してるのか怪しいものもある。
この統一出来てない状況で、シャルはたくさんの不都合を経験し、これではいかんと立ち上がるお話である。
めちゃくちゃ頭が良い上に、行動力のあるヒロインに、正直爽快感しかない。
このお話では、理系的なお話が沢山出てくるが、知識からっきしの私でも理解できる内容で、本当に面白い。ためになる。
そして、読んだあとはこの世にあるメートルに感謝することになるだろう。私はなった。
本当に一味違った賢いヒロイン。
ぜひ、読んでほしい作品の一つです。
物理学を専攻していた野乃は、フランベネイル王国はペリランド商会の娘・シャルリーヌに転生した。
そこで出会ったのは、数多ある統一されていない『単位』たち!
ゴーロン、ロンス、トルーラ、リテーラ、ベクタ、マイント……、とにかくこの世界は単位が多い!
異世界ものでおざなりになってしまう、この『単位』に焦点を当てた本作は、主人公のシャルが、ある出来事をきっかけにして単位の統一を図ろうとする物語。
本作では、この独特な単位たちがどのように生まれ、日常でどのように使われ、人々はそれに対してどのように思っているのか、事細かに描いています。
現実でも、単位は至る所で当たり前に使われています。
そのためか、本作は異世界ながらも、リアリティのある作品に仕上がっています。
まるで、人類史の特定の時代を切り取ったかのように。
本作の魅力は、主人公のシャルが、周囲の同意を得られない中で、転生前の知識を活かして必至に単位の統一のために奮闘する姿にあるように思われます。
どれだけ不便であろうと、慣れ親しんだ単位を手放すことをすぐさまヨシとする人などおらず、シャルは苦戦を強いられます。
それでも、今の自分に出来ることを精一杯行い、周囲に認められていく様子は、読んでいて楽しいです。
正直、この設定とストーリーは非常に難しい。
果たして、シャルはどのようにして単位の統一を図るのか。
先の展開が楽しみな一作です。
1センチは10ミリ、1分は60秒、1キロは1000グラム、1リットルは10デシリットル……ああ、これだけで頭が痛くなってきた。
異世界の単位なんて、きっとさらに複雑なんだろうなぁ……。
よく異世界ファンタジー作品に単位の説明が出てきますが(1ゴードは1円みたいな)、こちらの作品では呼び名が複数あったり、同じ単位でも1単位当たりの換算数が地域によって違っていたり……とにかく、計算しなければならないことが多い!
前世で理系大学生だったシャルは、その時の計算の速さを活かして商人である父の手伝いをしながらなんとか異世界生活を切り抜けていきます。
ただ、単位がゴチャゴチャしているせいでとある重大な事件に巻き込まれ、「単位を統一させる」という壮大な目標を持つことに。
第1章を読了して、確かにこれは統一させなければならないなと深く頷きました。難しい数字のお話かと思いきや、身近な問題に直結してくる「単位」のあれそれ。なるほどなと感心させられる出来事がテンポよく続いていくので読んでいて飽きません。計算式なども出てきますが、作者様も理系なのでしょうか?
とにかく、異世界にもメートルを!可及的速やかに!シャルの計算力と機転を活かしてぜひ実現してほしいです!