単位は歴史や文化から形作られるもの。それを変えるひとりの少女の物語

物理学を専攻していた野乃は、フランベネイル王国はペリランド商会の娘・シャルリーヌに転生した。
そこで出会ったのは、数多ある統一されていない『単位』たち!

ゴーロン、ロンス、トルーラ、リテーラ、ベクタ、マイント……、とにかくこの世界は単位が多い!
異世界ものでおざなりになってしまう、この『単位』に焦点を当てた本作は、主人公のシャルが、ある出来事をきっかけにして単位の統一を図ろうとする物語。

本作では、この独特な単位たちがどのように生まれ、日常でどのように使われ、人々はそれに対してどのように思っているのか、事細かに描いています。
現実でも、単位は至る所で当たり前に使われています。
そのためか、本作は異世界ながらも、リアリティのある作品に仕上がっています。
まるで、人類史の特定の時代を切り取ったかのように。

本作の魅力は、主人公のシャルが、周囲の同意を得られない中で、転生前の知識を活かして必至に単位の統一のために奮闘する姿にあるように思われます。
どれだけ不便であろうと、慣れ親しんだ単位を手放すことをすぐさまヨシとする人などおらず、シャルは苦戦を強いられます。
それでも、今の自分に出来ることを精一杯行い、周囲に認められていく様子は、読んでいて楽しいです。

正直、この設定とストーリーは非常に難しい。
果たして、シャルはどのようにして単位の統一を図るのか。
先の展開が楽しみな一作です。

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