本作は魔法世界で生きる少女アリーシャが自らの価値を見つけ出すまでの感動的な成長物語です。家族の期待に応えられず、どこにも居場所を見つけられなかった彼女が、ある出会いをきっかけに新たな道を歩み始めます。
どんなに困難な状況でも諦めない強さがアリーシャの魅力。ある場面では、彼女の持つ“特別な力”が意外な形で発揮され、周囲の評価が少しずつ変わっていきます。そんな彼女に寄り添い、見守るのがノア・フォン・モルガン。彼の言葉が、アリーシャの心に少しずつ変化をもたらす様子は、読者を引き込むことでしょう。
物語の語り口は流れるように美しく、情景描写が細やかです。彼女が試行錯誤しながら成長していく過程には、多くの驚きと発見が待っています。最後には、彼女がどのような選択をするのか、読者に想像の余地を残しながらも希望に満ちた結末が描かれています。
「アリーシャの力は、素晴らしいものだ」
攻撃魔法が使えないせいで、『落ちこぼれ魔女』として家族から見放されたアリーシャは、全く知らない場所に転移させられた。
だがそんな彼女の前に、巨人によって重傷を負ったノア・フォン・モルガンが現れる。
彼女は治癒魔法を使って命を救い、防御魔法で魔物の攻撃から身を守った。
「魔法、と言ったな。まるで、おとぎ話に出てくる聖女のようだ」
そこはアリーシャがいた世界とは違う、別世界"アヴァロン"。
ノアは王子であり、聖女モルガン・ル・フェの末裔であった。
かつて聖女と謳われた彼女は、アーサーが聖剣を抜き魔王を倒したことで"不要な存在"と見なされ、ブリテンを追放された。
だがノアの時代に、魔王を名乗る何者かが突然現れる。アリーシャが"アヴァロン"へ来た時、ノアは魔王の手下を倒していたのだった。
魔法がない世界で、アリーシャは自身の魔法を見つめ直すことになる。
否定された過去を背負いながら、ノアたちの力になりたいと自信を取り戻していくアリーシャ。
普段は感情を表立って出さないのに、アリーシャのことになると独占欲や嫉妬を表すノア。
交流を重ね心を通わせる二人だが、魔王の手下は幸せを壊そうとする。
魔法とは、不思議を体現させるもの。そして体現させるのは、想い。
アリーシャが紡ぐ「幸せの魔法」は、どんな形をしているのか。
少しの治癒魔法と防御魔法しかできない、と蔑まれてきたアリーシャは、とあることで別の世界に飛ばされてしまう。
なんとその世界には、魔法がなかった。
アリーシャが「これしかできない」と思っていることが、新たな場所では奇跡のようなものであり、アリーシャは戸惑いつつも純粋な気持ちで人を救っていく。
邪な気持ちを持たない、ただひたむきで純粋な彼女に惹かれていくノアもまた、人々のためにと動けるヒーローです。
二人の出会いが、周りを巻き込みながら紡いでいく奇跡の道のりは、やがて大きな花を咲かせるが如く、人々の心に根付いていきます。
相手を思いやる気持ちは、眩しいくらいに純粋で、素敵で、かけがえのない大切なものなのだなあ……
自分を消耗して、何かと傷ついてしまうような世の中に疲れた時、この物語は荒んだ気持ちを癒してくれるよう。
あなたはあなたにできることをするだけで、尊いんだよ。
そう言い聞かせてくれながら、優しく心の奥底で萎んでしまっている花を、開かせてくれるようなお話。おすすめです!!
誰からも必要とされないアリーシャ。望まれる能力が無いからと、家族からも蔑まれる姿は痛々しい。
攻撃特化の世界では、治癒魔法と防御魔法しか使えないと無能扱い。けれども、もし。別の世界であれば――
とあることがきっかけで別の世界へと飛ばされてしまったアリーシャだが、まさかの魔法が存在しない世界だった。
魔法が存在しない世界では、アリーシャの能力は聖女と同等とされ扱いは前の世界とは別格。これから幸福なストーリーがっ、と思いきや……
兎にも角にも、アリーシャの姿が健気で儚い。何かに追い込まれる姿に時に胸が苦しくもなります。けれども、それを癒す存在もまたいるのも事実。ヒーローであるノアの献身的な支えと、想いがじわじわとアリーシャに詰め寄る姿に、ニマニマです。
ヒロインの可愛らしくも成長していく姿。二人の絆が育まれていく姿。どれも見逃せません。オススメです。
「攻撃魔法が使えない魔法使いに価値などない!」というのが、主人公のいた世界の常識なのですが、まあなんというか、頭が固い人たちばかりなのだなぁと。
そのような環境だったからこそ、主人公も固定概念にとらわれてしまい、自らの可能性に蓋をしてしまったわけですが。
しかしそれも所変われば、自分の才能を役に立てることがある。
花咲く場所を間違えたのであれば、適切な場所に移し替えて咲き直す。
図らずもその機会を得た主人公は、見事新たな地で花を咲かせることになります。
「魔法使い」という役割ではなく、等身大の自分を見てくれる人々により、ようやく自信を取り戻した主人公の今後に、とても期待ができます。
柔らかく繊細な文章で紡がれる、温かさと少しの切なさに溢れた西洋風恋愛ファンタジー作品です。
恋愛作品が好きな方。おすすめです。素晴らしすぎる恋愛をたっぷり摂取できます。じれじれ甘々恋愛尊いです。
かわいいヒロインが好きな方。おすすめです。主人公のアリーシャさんがとにかくかわいいです。健気に頑張る姿も恋心にどきどきする姿もかわいすぎます。
かっこいいヒーローが好きな方。おすすめです。異世界で最初に出会うノア王子を初めとして、優しいヒーローやツンデレなヒーローもいます。推しが見つかります。
誰かに自身の価値を否定されて苦しい方。おすすめです。この物語を最後まで読めば、きっと楽になると思います。幸せになれる居場所は、誰にだって存在しているはずだということを、ひしひしと感じさせてくれる物語です。
このレビューで興味を持たれた方、ぜひぜひ読んでみてください。
置かれた場所で咲きなさいという言葉がある。
その境遇に、周囲からの目に、負けて腐り落ちるのではなく、それでもと懸命に空を見上げて光に向かって咲こうとすれば、いつかその美しさに気付いた誰かが、その花をもっと陽の当たる場所に連れて行ってくれるのかもしれない。
魔女でありながら落ちこぼれと呼ばれ蔑まれたアリーシャは、ある時異世界へ飛ばされてしまう。けれどそここそが、彼女にとって最も「咲くに相応しい場所」だった。
周囲からの否定や蔑み、嘲り、そういうもので押しつぶされたアリーシャにとって、「そうではないよ」と言われて肯定され、認められていく。そうして彼女は魔法そのものにも向き合って、持ち前の優しさはそのままに変わっていく。
感謝をされ、肯定をされ、そして愛を知る。
恋愛模様も勿論ですが、魔法のことや世界のこと、そういったこともとにかく丁寧です。
アリーシャとノアの恋模様を見守りながら、世界の謎にも触れていく。そんな楽しい時間を過ごせます。
ぜひ、ご一読ください。
僧侶のおまけ程度の治癒魔法と防御魔法しか扱えない魔女・アリーシャは、代々優秀な魔法使いや魔女を輩出してきたホワイト家の末娘です。
どこの冒険者パーティーからも敬遠され、ホワイト家の使用人から影で笑われる彼女は、家族から「恥さらしで駄目な人間」か「いない子」としてしか扱われません。
それは、「ここに私がいることを忘れられている」状態です。
親兄弟からの無関心と人格否定によって、自己肯定感が育まれないままに成長してしまったアリーシャは、常に「お前は役立たず」「お前は必要ない」「身の程知らず」と、「恥のテープ」が絶え間なく再生され、自己不信と自己批判の波にさらわれています。
アリーシャが抱えている問題の原因は、彼女自身ではなく、むしろ無関心と人格否定を続けてきた家族にこそあるのですが、それを覆すのは容易なことではありません。
兄・ウィリアムによって別の世界へと飛ばされてからも、アリーシャの自己否定は顕著です。
しかし、別の世界で出会ったモルガンという国の王子・ノアとの出会いが彼女を変えていきます。
ノアは誰かの身におきた悲惨に怒れる人です。
そんなノアはアリーシャの身になって親身に対応すると同時に、アリーシャの価値を前向きに肯定し、心に寄り添って共に向き合う姿勢を見せます。
「誰かが見てくれているというのは、とても嬉しいこと」
アリーシャがノアの態度から感じ取ったのは、自分のことを「見てくれている」という実感でした。
ノアの親しみと愛情、理解を通じて、アリーシャは「恥のテープ」を引きちぎり、勇気によって闇の中を突き進みます。
そして、初めて彼女は光の無限の力を知るのです。
本作は、家族から貶められたアリーシャが、ノアとの出会いを通して恥を克服して、自分という人間を輝かせる物語です。
魔女でありながら攻撃魔法が使えないアリーシャは、家族から落ちこぼれのレッテルを貼られて冷遇されていた。
不出来なアリーシャを蔑む兄によって別の世界へ転移させられてしまうのだが、そこは魔法のない世界。魔王の侵略に脅かされる人々にとって、アリーシャが使える治癒魔法と防御魔法は希望そのもの。
アリーシャの力を認めて肯定してくれる王子ノアと関係を育みながら、アリーシャは「魔法とは何か」という問いに向き合っていく。
王道のシンデレラストーリーに魔法のエッセンスとアリーシャの優しさが随所に感じられる、安心安全なロマンスファンタジーです。
まずこちらのノア王子、スペックが素晴らしい。
・金髪美麗第三王子
・剣の腕前が一流
・硬派×初心×弟属性
・アリーシャを全力で肯定してくれる優男
・その時欲しい言葉をその場でくれる
・その他無限に湧き出るスパダリ要素etc.
はい、アリーシャの幸せは確定です。転移させてくれたお兄様に感謝を申し上げたいくらい完璧。自己肯定力が底を尽きていたところにこんな劇薬をぶつけられては、アリーシャも読者も身悶えてしまいます。ノアからの徹底的な肯定と信頼と愛情によってアリーシャが自己受容していく様子に、お湯が沸きそうなほど胸が温まります。
そして個性豊かな二人の兄王子たちも、ノアとアリーシャの関係を発展させる良い仕事をしてくれるのです。ここはぜひ本編を読んでいただきたい。ちなみに私はルカ王子が推し!
冷遇からの溺愛は王道中の王道ですが、あまりのご都合主義やストーリーのひずみがあると途端に冷めてしまいます。ですがご安心ください。アリーシャのひたむきさ、人を助けたいと思う心、誰かの幸せを願える優しさは、溺愛されるに相応しいヒロイン像です。あらゆる人々にとことん愛されてくれと思わずにはいられません。
落ちこぼれ魔女が救国の聖女と呼ばれ、王子に愛される。
アリーシャが紡ぐ「幸せの魔法」によって、ハッピーエンドは確約!
じれじれな恋愛模様とヒロインの成長を、ぜひお楽しみください!
魔法が存在しない世界に転送されてしまった魔女・アリーシャが、自分だけの魔法を手に入れるお話です。
元の世界では落ちこぼれと疎まれていたアリーシャが、転送された別の世界で出会った男性・ノア。
ノアとの出会いが、アリーシャの運命を大きく変えてゆきます。
このノア様が!可愛らしくも格好良くて、本当に最高!スパダリ!胸キュンシーンが随所に散りばめられているので、ニヤニヤしながら読み進めました。
また、個人的に、恋を自覚するシーンやセリフが大大大好きなのですが、素敵な描写とキュンキュンする場面で、良いものを読ませていただきました。ありがとうございます。
恋愛模様だけでなく、魔法と向き合うアリーシャの成長や、しっかりした世界観などの描写がとても良いです。
アーサー王物語が好きな方なら、「お?」「そうきたか!」と膝を打つような思いをさせていただける作品です。
落ちこぼれと呼ばれた魔女は、聖女になるのか。それとも……。
いいえ、どちらでも構いません。
アリーシャ、頑張って。幸せになってほしい⋯!