シトラス・メタモルフォーゼ

少年少女が持つモノが擬人化し、言葉を話すようになる現象。思春期にしか起こらないこの現象を、人々は『メタモルフォーゼ』と呼んだ。
元はモノだった彼ら彼女らは『魂物』として『回収屋』に捨てられる運命にある。

「『魂物』は人の人生を狂わせる」
「奇怪な超常現象を起こす」

実際に『魂物』を従えた少年少女が犯罪行為をするようになってから、世間の風当たりはますます強まっていた。

不登校の女子高生、蕪木柚が持っていたアザラシのぬいぐるみも、ある日突然ちんちくりんな少女へと変身してしまう。考えなしに迫ってくるぬいぐるみ少女を嫌悪する柚だったが、いくら無視してもまとわりついてきて――

「私は一人が好きなの。邪魔しないで」
「ボクは柚のこと大好きだから。困っちゃうね」

学校に通わないと単位が危うく、し…続きを読む