記憶にない恋文　～自室から見つかった数年前の恋文、その子のことを僕は覚えていない

『私も司君のことが好きだよ』

　ある日、日向司（ひむかいつかさ）は自室の押し入れから一通のラブレターを見つける。

　ところが、司はそのラブレターに見覚えがなかった。その理由は事故の後遺症によるものであり、小学6年から中学1年生にかけての記憶が無くなっていたからだ。

　しかし、ラブレターを見つけたことをきっかけに欠けていた記憶の一部を思い出す。

　今でも彼女は自分のことを探しているかもしれない。そう考えた司はラブレターの差出人を探すことにした。

　幼馴染や後輩が所属する文芸部の協力もあり、少しずつ彼女との思い出を取り戻していく。それでも名前や顔を思い出すことが出来ず、なかなか初恋の人にはたどり着かなかった。

　依然として手掛かりが少ない中、文化祭も同時に迫ってきていた。そして文化祭…続きを読む