第4章 この思い出を最後に……

Xの独白3 

 司が定めたX探しのタイムリミットを迎えた。


 わたしは無事司に自分の正体を隠し通すことに成功した。これで、もう司がわたしを探すことはないだろう。


 これでやっとわたしの初恋に終止符を打つことができる。


 思えば司のことを好きになってからもう五年近くたっていたのだからすごいと思う。そんなにもわたしは同じ人を好きになっていたのかと思うと驚いてしまう。


 これからのわたしと司はそれぞれの新しい出会いに進むんだ。


 司とのかくれんぼはわたしの勝利で終わった。


 それでいいはずなのに、何故だろうか、どうしても心がモヤモヤしている。なんで、こんな気持ちになるのだろうか。


 わたしは司に正体を明かさないって決めてたんだよ。


 わたしは司に正体をバレずにすんだんだよ。


 わたしは司にひどいことをしてしまったんだよ。


 司のことを好きな子が他にいるんだよ。


 だからわたしは司のことを諦めるって決めたのに。どうして……


 わたしはどうすれば正解だったのか分からない。誰か教えてほしい……


 司や司を好きな人の幸せを願うためにわたしは負けヒロインにならなければならない。


 これが司を事故に遭わせてしまったわたしへの罰なのだから。


「この文化祭が司との最後の思い出にしよう」


わたしは鏡の前で顔を両手でパチンと叩き、そう決意した。

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