第26話 タイムカプセル

「どうだった、先輩の劇?」


 文化祭が終了し、教室の片付けに入っていると、祐一からそんなことを聞かれた。


「面白かったよ。祐一は……そっか見れなかったんだっけ」


 祐一は先輩が劇をする時間は仕事をしていたため、先輩の劇を見ることができていなかった。


「そっか、どんな内容だったんだ?」


 僕は先輩の劇の内容を詳しく伝えた。内容だけでなく、先輩の演技の凄さも伝えた。


「それは見たかったな」

「ほんと、こればかりは運がなかったよね」


 どの時間に劇をやるかは他のクラスとの上映時間を調整しないといけなかったため決まるのがギリギリになってしまったらしい。


 そのせいもあったうえ、祐一は見事に二分の一を外してしまったというわけだ。


「特にタイムカプセルが出た時は良かったな。僕もやりたいと思ったよ」

「……タイムカプセル」


 意味ありげにその言葉をつぶやいた祐一。そして何かを思い出したようで、僕の肩を『ガシッ』と掴んだ。


「司、ここの片付け任せても良いか」

「別にもうそこまで残っていないから構わないけど」

「サンキュー」


 そう言って祐一は教室から出て行った。


 何を思い出したのだろうか。慌てているというよりはにやけていることがあったから、深刻な問題があったというわけではなさそうだからいいけど。


 その後、祐一が帰ってこないまま後夜祭が始まった。


 吹奏楽部が流行りの曲を演奏し、後夜祭に参加している人たちの熱気が高まる。その様子を僕は体育館の上から撮影をしていた。


 次々と後夜祭の演目が時間通りに行われていく。このまま予定通りにけば、花火が打ちあがるのは三十分後だ。


 そろそろ花火の様子を撮るために移動をしようとしたときに、ポッケにしまっていた携帯が震えた。


 確認をしてみれば祐一からだった。


『文芸部、全員集合。タイムカプセルを見つけた。部室に至急集まれ』


 というメールが部員全員宛に送られていた。


      *


「あ~あ、ついに見つかっちゃったか」


 メールを見たわたしはあの思い出の場所へと向かった。

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