★★★ Excellent!!!
これは小説の全て 雛野かなえ
文体、表現、物語、小説の面白いところが全て盛り込まれた凄い作品です!
目を覚ましたらサメになっていた!しかもぬいぐるみの!というところから興味を持って読んでみるともう止まりません。
サメの正体は何なんだ?一体どうしてサメのぬいぐるみになってしまったんだ!と思いながら読み進めていくと、次々に登場する印象的な登場人物たちによってどんどん引き込まれて行きます。特に、登場人物の描写は心理面が重視されており、そうして描き出されていく「顔」は小説という作品の面白さそのものです。
ボーイミーツガールあらためボーイミーツサメの体裁を取りながら進められていく物語は、思いもよらない方向へと向かっていくことになります。夏を舞台に繰り広げられながらも、夏なのに酷く凍えるようであったり、冬の場面なのに信じられないくらい温かみがあったり、この作品は対比がとてつもなく映えています。
また、少しずつ秘密や過去が明かされていく構成がうますぎて、一話があっという間に過ぎ去っていき、続きを、続きを、、、という状態になること間違いなしです。それから、ただ少年少女の交わりが描かれる青春群青劇にとどまらず、様々な要素が混ざり合っている部分も見逃せないところです。それでいて設定に胃もたれしない塩梅が取られているのでこれはもう最強です。
回を重ねるごとに面白くなっていく本作ですが、ある時を境に『そして、サメは目を覚ま…
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