第26話

「では、行きますね」


「ああ、いつでも来い」


そこには睨み合う二人の男女がいた。

腰ほどの台に設けられた低いネット越しに睨み合う二人は、まるで虎と龍だった。

ネットの横には金髪の少女が大儀そうに立っていて、右側は1本、左側は4本の指を立てている。


俺たちは「風呂の後と言ったら卓球だろ!」という安直な考えのもと、それに興じている。

今は俺と後輩が戦っていて、10点マッチだ。

俺が優勢である。


「私からのサーブですね。……ああっと、そう言えば私——」


刹那、後輩のラケットから球が放たれる。


続きが気になる終わらせ方。

必要最小限のムーブ。

これは相手の不意を衝く完璧な作戦だった。


しかし、ふっ、後輩よ、相手が悪かったな。

これは『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』のアニメOVAバージョンで予習済みだ。


俺は、必要最小限のムーブだったため緩み切ったそれを、渾身の一撃で返す。


辺りにはパコーン!と小気味いい音が響き渡る。


「甘いんだよ」


「……ハッ!打たれた!?」


後輩は今になってやっとその事実を視認する。

床にはアーティフィカルなオレンジの、小さい球が転がっていた。

金髪の少女、向坂美鈴はそれをさも退屈そうに見守ると、俺の方の指を立てた。


「……く、クックック、しかしそれだけだと侮ることなかれ。いいでしょう。……我が最終奥義を見せる時が来たようです」


「ほう、最終奥義、とな」


「ええ、最終奥義です」


「では見せてもらおう」


「覚悟してください。スーハ―。黒より黒く闇より暗き漆黒に我が深紅の混淆を望みたもう。覚醒のとき来たれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!

踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!これが人類最大の威力の攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法」


「それはまさか……」


ここで後輩がにやりと笑う。


「……エクスプロージョン!」


後輩の打った球は、詠唱の甲斐あってか過去最高のスピードで——


「甘いんだよ」


来はしたものの、あくまで女子の範疇だったので軽く打ち返され、俺の得点となった。







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後書きです。


毎日投稿にした方が筆が進むのでそうすることにしました。

今回は短めです。


にしても、これは非営利目的なのでバシバシ著作権違反しても大丈夫ですね。


……え?大丈夫ですよね?


まあ、大丈夫です。


そう言えば、次回の話も書き終わりました。

なんでこんなに絶好調なのでしょう。

多分、中央大学の推薦に落ちたからですね!


先日、中央大学に出願したんですが、見事に一次試験で落ちました!

ええ、気分はとっても最悪です!

この中に誰か僕専用のサンドバックになっていただける方はいませんか?

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