第19話

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五条樹視点


黒々とした海原は燦燦と輝く太陽を反射し、潮のにおいは辺りに満ち満ちて非日常を感じさせる。

立ち並ぶ屋台からは喧騒がひっきりなしに漏れ、火照る砂浜は足を包み込む。


俺は今、海水浴に来ている。


夏休みに入った俺の学校は、学生を異世界、非日常、“晴れ”へと解き放った。

言わずもがな、俺もその一人である。


先日、俺は幸助からこう誘われた。


『お前どうせ暇だろ?海水浴にでも行こうぜ』


「ああ、暇だが行く気はない」


『いや、駄目だ。来い』


「なんでだよ。俺だって休日はゆっくりしたいんだよ」


『ゆっくりなら海でもできるだろ。お願いだ。来てくれ。じゃないと——ああ!わかってるから!だからその鞭は仕舞ってくれ!——俺が殺される』


「友人の命と休日か……やっぱ休日かな」


『お前!どんだけ薄情なんだ!!!』


一回断りはしたものの、なんだかんだで連れてこられてしまった。


海では見慣れた女子たちがキャッキャウフフと楽しんでいる。

……見慣れた?


何故だ。

確か幸助との約束では野郎二人で海水浴に行くはずだった。


そこで思い出した。

見慣れた女子たち、つまり雨森由奈と宮前佐奈とシャルリア・ウェルダムとは行きの電車でたまたま会ったのだった。


裏で打ち合わせたのではと思うほどのたまたまだった。

たまたま行き先が同じだったばかりか、たまたま予約していた電車の席まで向かい合わせだったのだ。


ちなみに、行きだけは俺たちはグリーン車に乗った。

帰りは普通の席である。

そんな値段が高いところわざわざ行く必要がないと思っていたのだが、幸助のどうしてもと言われたので仕方なく虎の子の貯金をはたいた。


「なあ、お前ももっと楽しめよ」


そういうのは幸助。

ビーチパラソルの下でサングラスをかけながら、レジャーシートに横たわっている。


「いやだ、今日は休日をしにここに来たんだ」


俺も幸助と同じようにビーチパラソルの下でくつろいでいる。


すると、海で楽しんでいた女子三人組がこっちに寄ってきた。


「樹君も一緒に遊ぼうよ!」


屈託のない笑顔で俺に手を差し出すのは宮前佐奈。

露出度がそこそこある赤色でファンシーな水着は彼女のきれいな肌をより際立たせている。


「ああ、幸助が行くんだったら俺も行くよ」


そう言って幸助に全部託した。


「俺?俺はもちろん行か——行こっか!」


一瞬肌寒く感じたが、多分気のせいだろう。


宮前に手を引かれながら連れていかれる。

幸助もぶつぶつ何か言いながらついてきていた。




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後書きです。


これで今日の分は終わりなんでゆっくり読んでくださいね。

って言ってももう遅いですよね。


ええ、僕もその、「もっと早く言えよ」っていう気持ちには何度もなってきました。

日本史の授業然り、高校転校然り……


しかーし!そこでくじけないのがこの僕!

頭を数回たたくことにより記憶をまっさらにして、虚心坦懐で臨んだのです!


皆さんも真似してみては?

レンガの角とかおすすめですよ?

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