第8話 安藤は安堵する
クラスの皆が沸き立っている。
ある人は喜色満面、ある人は不倶戴天の敵に遭遇したかのような心持である。
そう、あと数日後には体育祭があるのである。
体育祭とは文字通り、体を動かすものである。
騎馬戦とか、リレーとか、とにかくいろいろな種目を行う。
それをチームごとに競うのだ。
まあ俺には関係ないことさ。
当然俺はそう思っていた。
しかし——
「樹君は何に出るのかしら?」
そう訊くのは雨森由奈。
「あ!私も聞きたーい!」
そう言ってノってくるのは宮前佐奈。
「あてぃしもキョウミがあるわ」
そう言って凛とした目を向けるはシャルリア・ウェルダム。
何故だろう。
何故だかわからないが、この三人から期待されている気がする。
「い、いやぁ、俺、運動苦手だから玉入れに参加しようかなぁって」
「ほうほう……確か玉入れは男女共同だったような」
「なるほど……狙うとしたらそこね」
「へ、へぇ……競技中だったらちょっとくらいの接触、仕方ないわよね……」
俺の出る競技を聞いてどうするのかは皆目見当がつかないが、しかし彼女たちのその、興味のないことにまで一応頷いてくれる姿勢には胸が打たれる。
その後に何かつぶやいていたようだが、多分「本当は幸助君の競技を聞きたかったのに」と言っているのだろう。
こんな健気な彼女たちを手ぶらで返すわけにはいかない。
だから、幸助にはどの競技に出るかは全く聞いていないのだが、ここは長年の友として推測させてもらおう。
「多分、幸助も運動苦手だから俺と同じ競技に出ると思うぞ?」
「へぇ」
「ふーん」
「そう」
俺の推測など役に立たないと思ったからか、彼女たちの反応は案外そっけなかった。
ああそうか。
俺は彼女たちの希望にこたえられなかったのだな。
俺は少し嘆息し、彼女たちにこう呼びかける。
「いい機会だし、幸助に直接聞いてみたらどうだ?別にお前らの仲なら特段変なことではないだろう?」
「え?あ、幸助君?は——興味ないわね」
「うーん、私も別に聞くほどってわけじゃないかも」
「ソウね、あてぃしもキョウミないわ」
彼女たちの反応は至極冷徹だった。
うーーん?わからんぞ?なんでそんなに冷淡なんだ?
……はっ!わかったぞ!これが俗に言うツンデレってやつか!
「いやぁ、あともう少しで体育祭だな」
「そうだなぁ」
そう言ってぼんやりと上を眺める。
隣には荒木幸助がいる。
「お前は何の競技に出んの?」
「ん?俺?玉入れだけど……お前は?」
「俺は——やっぱり玉入れかな」
「だよなぁ」
「運動したくないもんなぁ」
そう言って見上げるは快晴の空。
お天道様は真上に上がっている。
つまり、今は昼である。
「そういえば、お前の弁当って誰が作ってんの?」
そう幸助が問いかける。
「ん?これ?お母さんだけど」
「いいよなぁ、俺なんて毎日自炊だぜ?」
「自炊できるなんてすごいじゃないか。俺なんててんでできないから、嫁に作ってもらうことになるだろうな」
ガタッ
「「ん?」」
「なあ幸助、さっきあの扉から物音が聞こえなかったか?」
「……あいつらもしかしてこれを聞きに来てんのか?だとしたらまずいな……もし樹にばれようものならあいつらから——ん?なんだ?樹」
「いや、だからさっきあの扉から物音しなかったか?て」
「も、物音?な、何のことだか。多分気のせいじゃないか?」
幸助はボディランゲージを激しくして言う。
まあ、そこまで言うのなら気のせいなのだろう。
「でもやっぱり嫁はかわいくなくちゃなぁ。かわいくて料理もできる。欲張りすぎか」
ガタガタッ
「「ん?」」
「なあ幸助、やっぱり——」
「あ!ああ!そういえば最近この学校に野良猫が住み着いたらしいんだよ!それかなぁ!」
なおも幸助はボディランゲージが激しい。
「……まあ、そんなもんか」
「ああ!多分そうだよ!」
幸助は大きく頭を縦に振る。
俺が視線を外すと横から息を吐く音が聞こえた。
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後書きです。
僕の物語って面白いですかね?
僕としては最高のものを届けているつもりなのですが、まだ話の数が少ないためか評価が芳しくなくって……
でも大丈夫!
今後はもっと後輩がかわいくなるので人気が出るはずです!
その他ヒロインももっと色付けをしたいと思います!
そう考えると、人気が出ないのも発展途上のためだって納得できますね!!!
ちなみに話題と内容は全く関係がございません!!!
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