誰もが羨ましがるハーレム主人公は俺の友達のはずなんだが……

Black History

第1話 ヒロインの登場と恋愛のアプローチは早めに

突然だが、俺、五条樹の友達、荒木幸助はモテる。

しかし、これは俺が見る限りではあるものの、幸助は容姿端麗でもなければ頭も切れない。

ましてや運動なんてこれっぽっちもできない。

しかし、彼、荒木幸助はモテる。


俺たちの出会いは高校一年の春だった。

こう言ってしまうと、さも特別な出会い方をしたように聞こえるが、別段そんなことはない。

自己紹介で互いを知り、その後の自由時間で話すようになっただけだ。


今は高校二年生の春である。

これくらいの歳月がたてば、俺はあいつを友達と断じてもいいのではないか。

まあ、そんなことはどうでもいい。

問題は、どうして彼がそこまでモテるかということだ。






思えば彼には優しさがあったように思う。

しかし、いや、友達だからこそあえて言わせてもらうのだが、惚れる要素としてはそれしかない。

だから、女子があんな風に群れを成して彼を囲っているのも、みんながみんなその優しさに惚れたとしては違和感があるのだ。


……だって、数多過ぎない?


「幸助君、今日の午後は空いているかしら?」


彼女は、雨森由奈。ロングで黒色の、艶のある髪の毛を持つ、いつでも冷静沈着な表情と声色からスマートな印象を受ける少女だ。

彼女は世間一般で言う、美しいに入る部類の顔らしく、玉砕が後を絶たないのだと言う。


「はいはーい!じゃあそれ!私も参加する!」


彼女は宮前佐奈。髪型はショートボブで、生来のものなのか、少し茶色がかっている。

先ほどの発言を見てもらえれば分かるように、テンションは年中天元突破しており、少し馬鹿な、いや失礼、かなり阿保なイメージを受ける少女だ。


「ソ、ソウね、あてぃしもサンカしようかしら」


そのように、まるで外国の方が日本語を最近習得したように話す彼女がシャルリア・ウェルダム。

金髪のツインテールに血筋由来に空色の眼をした少女だ。

ちなみに英語は全く話せない。

試しに話しかけてみよう。


「Hey! Shally! How are you today?」


すると彼女は不意を突かれたかのようにがばっとこちらを振り返ると、一気に頬を赤く染め、ダダダッと教室の外へ駆けて行ってしまった。

そう、荒木幸助がモテるのは、この際何でも構わない。

しかし問題なのは、その周りの女子たちが、俺を露骨に避けることなのだ。







放課後となった。

俺は内申点稼ぎのために所属している、ブンブン部に向かっている。

変な名前の部活だって?

そりゃあ、略しているからな。


正式名称は「文芸及び文化の奨励を行い日本を勃興させるとともに人間活動の思想的限界を追求しまたこれを乗り越えんとする先進的かつ保守的な部活」である。

俺たちはその一番最初を略して「ブンブン部」と言っている。


「クックック、来てしまいましたか」


俺が部室の扉を開けると、そこには少女がいるが、別段用事はないので無視して席に座る。


「ちょっと!なんで無視するんですか!」


俺は彼女を一瞥する。

高校生の癖に子供っぽい体。

高校生の癖にまだ離れられない中二病。

俺は鼻でふっと笑った。


「ああ!今鼻で笑った!馬鹿にしましたね!?いいんですね!?私怒っちゃいます!」


「大丈夫だ。お前を宥めるなど、児戯に等しい」


「ああ!もう今ので許さないことに決めました!ふーんだ!もう無視してやるもんね!」


ここまで怒らせて本当に大丈夫なのかと思われる方がいるかもしれない。

大丈夫である。

まあ見ていてほしい。


「美奈、今日もかわいいよ」


そしてこの後に微笑む。

するとなんということだろう。

彼女の頬はみるみるうちに赤くなっていって——


「そういうところですよ!」


こう叫んだ。

彼女の名前は栗原美奈。

黒色の髪を首のあたりで切りそろえ、魔導師のような帽子をかぶり右目には眼帯を付けた、全身を黒装束で覆っている痛い子だ。







俺は今栗原美奈、中二病のいたい子とオセロをしている。

この部活の活動目的は、名前こそ立派だがないに等しく、そのためここでオセロをしても誰からも注意されないのだ。

なお、今のオセロの情勢は俺の圧倒的有利である。


「うーん、うーん……」


美奈は碁盤の前で煩悶している。


「はっ!クックック、ここは必殺技を使うしかないようですね……秘儀!ちゃぶ台返し!」


そう言うと美奈はオセロの盤面をひっくり返そうとした。

しかし、どういうわけかひっくりかえせない。


「甘いんだよ」


「はっ!もしや……読まれていた!?」


「ああそうだ。お前がいつもちゃぶ台返しをするから、オセロはこの机に固定しておいた」


「クックック、でも、先輩も甘いですね。だったらこの机ごとひっくり返せばいいだけのこと!秘儀!ちゃぶ台——」


「チョップ」


「はうあ!」


美奈はチョップされたあたりを抑えながらうずくまる。


「俺がみすみす見逃すわけがないだろう」


「で、でも!チョップはひどいです!外道です!鬼畜です!」


「ちゃぶ台返ししようとしたお前が言うな」


「で、でも——」


そんな時、部室の扉が開かれる。


「……お前ら、今日もさぼってんのか」


「「さぼっているのはこいつ」」だ!」です!」


そう言って俺たちは互いに相手のことを指す。

うん、いや、まぁ、どっちともさぼってたんだけどね。


「……はぁ」


入ってきた彼女は頭を抱えた。







「なんで不良の俺がこの部唯一の常識人みたいになってんだよ……」


そう呟いたのは先ほどこの部室に入ってきた彼女、ロングの多分染めたであろう金髪で、制服は着崩している。

名前は向坂美鈴。

第一人称は男勝りなもので「俺」である。


「俺もオセロをするのは良くないなと思ったさ。でも、そこの後輩、いや失礼、へっぽこ後輩がどうしてもと言うからな、仕方なくやってやっただけさ」


すると美奈、後輩は俺をきりりとにらむ。


「私もオセロはやりたくありませんでした。でもそこの先輩、ケフンケフン、年中普通な先輩がどうしてもと言うので甘んじたのです」


「お前……俺が一番気にしていることを……」


「先輩だってへっぽこ後輩って行ったじゃないですか!」


「あ?」


「むーっ!」


「「ふん!」」


俺と美奈はそれぞれそっぽを向いた。


「まったく……お前らは仲がいいんだか悪いんだか……」


そう言うと美鈴は肩をすくめた。







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後書きです。

面白いですか?

僕はもちろん、面白いと思って書いています。

しかし、どうしても言いたい意見があるのならば聞いてあげないこともありません。

ごめんなさい。

ツンデレキャラに憧れてツンデレになってしまいました。

僕は小説、特にこのサイトの強みというのは作者と読者が直につながっていることだと思っています。

”直につながっている”という表現を見て肉体的に接続されている状態を想像した読者様、申し訳ありません。

そういう意味ではございません。

ちなみに僕は男で女性経験の少ない、いえ、強がりました。無い人間ですから、もし恋愛をしたいという方がいたら格好の相手となる自信があります。

そんなことは置いといて、直につながるとはどういうことかと言うと、これは単にコミュニケーション媒体が用意されているということです。

つまり、これは状況証拠のみを考える、いわば犯罪者の内面などを考えない探偵もののような帰結ですが、この一つの作品を読者と作者一丸となって仕上げていけるということです。

ええ、ではここで実験的に読者様の心情を入れてみましょう。

ある人は「批判されそうで不安だな」と思い、またある人は「こんな屑みたいな作品、評価のしようがない」と思い、さらにある人は「女性経験皆無ってことは裸を見せれば落ちるかな?」と思うでしょう。

ごめんなさい。

女性の体はAVで十分です。

僕はこれから「批判されそうで不安だな」と思った方にのみ話をします。

いえ、やっぱり面倒くさいんで話しません。

では、さようなら。

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