第2話 アイスコーヒーを愛すことに決めました

俺は今下校中だ。

空はもう夕暮れである。

大通りからは一本外れた道を歩いていると、寂れたカフェに幸助の姿を見つけた。

見ると佐奈(阿保)、シャルリア(英語を喋れないにもかかわらず日本語がカタコト)、由奈(冷静沈着)も一緒だ。


「そういえばあいつ、午後の予定を聞かれていたな」


モテモテなのはいいこった。

俺はそれを一瞥し、すぐに帰ろうとしたのだが、どうやら幸助がこちらに気づいたらしい。

俺を手招きしている。


なんだ?華ばっかで騒々しいから男の俺でも加えて中和したくなったか?


まあそんなことはどうでもいい。

俺は手招きに応えて、そのカフェに入った。







気まずい。

なぜか俺が席に座った途端、この場には沈黙が流れている。


「い、いやぁ、しかし、いい天気だねぇ」


「うん、それ朝言うやつだから。もしかしてお前はあれか?学級日誌の一日のまとめの欄に書くことがなくって思い返してみたら今日はいい天気だったからかろうじてそれを書く時を想定しているのか?」


「い、いやぁ、でも水垢の一つもついていない、よく掃除された窓だよ」


ダメだこいつ、話聞いてねぇ。


「うん、お前はあれか?意中の人の家に行って少しでも気に入られようと家のことをほめようとしたけど、平凡で何にもなかったから苦し紛れに窓を褒め出すときのことを想定しているのか?」


「……じゃあどうしろっていうんだよ!樹が今度は何かやってみせろよ!」


「ええ……」


それだったら俺を呼ばなければよかっただけなんじゃないんですかね。

そう思ってももう遅い。

だって現に来てしまったのだから。


この沈黙は主に女子陣から発せられている。

それを打開すべく、こう切り出した。


「佐奈、由奈、シャルリア」


名前を呼ぶたびに女子陣の方がビクッと揺れる。


「俺はもっとお前たちと話したいよ」


「「「ひゃい!」」」


俺は確かに、ハーレム主人公の幸助に比べたらどうでもいい存在かもしれない。

でも、同じ人に好意をもったという時点で仲良くしたいじゃないか。

もちろん言うまでもなく、俺の幸助に対する好意と言うのは友人としてだ。


……ん?

なんか期待されたような気がする……


「あ、あのぉ……」


ここで宮前佐奈(阿保)はおずおずと手を挙げる。


「樹君のその言葉ってつまりこくは——あいた!」


「ご、ごめんね樹君、私たち、ちょっと帰るわ」


雨森由奈(冷静沈着)が佐奈(阿保)にチョップをし、そう告げると佐奈を引っ張って足早にそこを立ち去ろうとする。


「ちょっと、シャルリア!手伝いなさい!」


「もっとお話ししたい……ウフフ、もっとお話ししたいかぁ」


「ダメだ!シャルリアまで自分の世界に入ってる!」


「ま、まあ落ち着いたらどうだ?別に今すぐ出ていく必要はないんだし」


「そ、そう?邪魔にならないかしら?」


「ああ、そうだよな幸す——」


「ハーレム主人公許すまじハーレム主人公許すまじ……」


「うん、大丈夫だって」


俺は友が何やら奇怪な念仏を唱えて、着々と変人への道を進んでいる事実からは目を背け、そう答えた。


「そ、そう、じゃあもうちょっといさせてもらおうかしら」


「……」


「……」


「……」


「話してほしいって言われちゃったなぁ……」


「ハーレム主人公許すまじ……」


少しの間沈黙が流れる。

すると、佐奈(阿保)がまた、おずおずと手を上げようとした。

それを察知した由奈(冷静沈着)はすかさず睨む。


すると佐奈は蛇に睨まれた蛙のように怯え、助けを求めるようにこちらを涙目で見てきた。

ごめんな、俺だってその女王に逆らうのは怖いんだ。

俺は見て見ぬふりをする。

すると佐奈は絶望と言った感じでうつむいてしまった。


その後も沈黙のみが流れた。

……え?何この地獄?








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後書きです。

ヒロインはかわいいですか?

もちろん、僕はこれがかわいいと思って書いています。

ちなみに最近僕はカフェに行っています。

そこでは、学生にとってはとても高いのですが、アイスコーヒーが、失礼、Iced coffeeが310円プラス税、失礼、Three hundreds and ten yen plus taxなのです。

言わずもがな、最近僕は英語にはまっております。

理由は英会話レッスンに行くことになったからです。

体験レッスンで先生には英語上手いねと褒められました。

やっぱり僕は外国人だったのかもしれません。

そう思うと、何やら英語でしゃべる方が楽なような気がしてきました。

やっぱり僕は外国人だったのかもしれません。



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