第40話

「で、何点取れそうよ」


対して興味なさそうに聞いてくるのは荒木幸助。


先ほど終わったばかりの数学のテストの話をしているのだろう。


まあ、いつも通りだろう。


「いつも通りだろうな」


「あー、俺もそんな感じだわ」


そして次の科目である国語の復習を開始しようとする。

そんな俺たちに一つ、近づく影があった。


「次は国語よね」


彼女は金髪のツインテールに、空色の眼をしていて、到底日本人だとは思えない。

そう、シャルリア・ウェルダムである。


「ああ、そうだな」


俺はその問いかけにこたえる。


「なら、樹君たちの復習に混ぜてもらえるかしら?樹君って確か国語が得意だったわよね?」


「ああ、いいぞ」


「そう、心強いわ」


この一連のやり取りは、俺をまた狼狽させるものだったが、隣に周章狼狽とした荒木幸助がいたこともあり、俺は平静を保てた。


おもむろに幸助が俺にこうささやく。


「お前、絶対あの帰りの時になんかしただろう」


あの帰りの時、と言うのはあのことを指すのであろう。


俺とシャルリア・ウェルダムは先日の勉強会の帰りにて途中まで一緒に帰った。

幸助はそこで何かあったのだと訝しんでいるが、しかし俺たちは普通の友達がするような当たり障りのない会話をしたのみで、実際は何もないのだ。


「いや、何もしてないぞ」


「いーや、お前のことだから絶対何かしたね」


「おいおい、人の信用をそこまで——」


「違うな。これは信用云々の話じゃない。お前が鈍感なのが悪いんだ」


「またそれか。だから俺は鈍感じゃ——」


「そういうところも鈍感なんだよ!」


「っ!——お前なぁ、少しは言い方ってもんが——」


「あの、ちょっとお取込み中良いかしら」


そこではたと思いだした。


そうだった。

シャルリア・ウェルダムと国語の復習をするんだった


「いや、悪い。こっちの話だ」


そうして俺たちは、シャルリア・ウェルダムを新たに仲間に加え、テスト勉強の最終確認を始めるのだった。







「あー、疲れたぁ」


どさっと体を机に預けるのは荒木幸助。

「やっと終わったか」


俺は椅子の背もたれに体重を乗せる。


この解放感。

この達成感。

にもかかわらず、この後には成績開示と言う地獄があるのは驚きだ。


俺たちはこのひと時の休息を、大事に浪費していくのだろう。







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後書きです。


涼宮ハルヒの憂鬱の二次創作を書くことにしました。

もしかしたら不定期に休むかもしれません。

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