7. 調書⑴
・某日の調書より、たむろしていたチンピラ風の男の言葉
だから、なんでオレがここいたら困るんだよ。特に何もしねーのによ。
……おめーそんなルールまで気にしてたらすぐ死ぬぞ。脅しじゃねーっつの!
割とマジでおめーみたいなの瞬殺だわ。そこらのチンピラでも余裕だろ。ホームレスそんないねー街なめんなよ。まともなホームレスこんなとこで寝ねぇわ。
まだハタチそこそこで死にたくねーだろ。……え?32?ちゃんとメシ食ってっか?
・翌日、絵を同じ場所で数時間描いていた不審者の言葉
あのさ、何で数時間絵を描いてるだけでケチをつけられるわけ?君何様?
僕特に何もしてないよね?絵描いてただけだよね?怪しいことしてたなら言って?「絵を描くこと」が怪しい行為なの?
雰囲気が何?ああうん真剣だったよねごめんね。僕本気だから。この場所薄暗くて不気味なのに……って、だからこそでしょ。絵描きが皆似たような絵だったら芸術すぐ廃れるって。
君新入り?僕みたいなのに構ってるってどれだけ暇なの?来たばっかりだから街のこと知りたいけど怪しい奴が結構多かったからとりあえず声かけた……なら分かるよ。
でも、声かけるのにいきなり警察ですとか言ってお堅い挨拶されるとイラッときて当然だと思う。そんなに偉い立場なわけでもないし。何か言いたいなら言えば?
とりあえず、関係のありそうな資料がこれ。……今見てもやっぱり腹が立つ。まあ、この街がどういう印象の街かは分かると思う。
上のチンピラは赤毛の短髪に緑色の瞳。服装はTシャツにジーパン。明らかに学がない。下の不審者は亜麻色の癖毛に青い瞳。服装は小洒落ていてセンスがいい。胡散臭い雰囲気で明らかに嫌味。
彼らとはこの先妙に関わっていくことになる。……はっきり言って初対面の印象は、バカと面倒くさい人だった。
***
「噂」に返した質問に、返答はなかった。
またしても送られてきたメールを開き、すかさず電話をかける。弱りきった声だが、確かに「ロバート」の声音だとわかった。
「ロバート、この原稿お前が書いたのか?」
「警察署……?資料漁った記憶があるから、たぶん……?」
どうやら、ガチで警察署があるらしい。
……本当に、どういう場所なんだ?
「……そこ、どんな雰囲気だ?」
『えーと……職場の近くとそんなに変わらない、かも』
「お前の職場を俺が知ってるわけねぇだろ……」
『見慣れた光景……としか……。……あ!写メ送るね』
メールに添付されて、真っ黒な画面が送られてきた。……くそ、泣けてくる。
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