閑話2
皆が寝静まった頃、一人の生徒が目を開けた。
静かに起き上がり、物音を立てないようにしてバックの中からある物を取り出す。
それは、細身の銀色のブレスレットだった。
これを嵌めれば、強い魔獣をも従わせる事が出来るのだと教えられていた。
どのような原理で魔獣を従わせる事が出来るのかは分からないけど、凄い物を渡されたと思う。
それだけ、自分が期待されているんだと――認めてもらえてるんだと思えた。
学園であの人と契約を交わした時、覚悟は出来ていた――しかし。
じっとブレスレットを見下ろしながら、周りで寝ている仲間の姿を見詰る。
学園に入学した時から一緒に年を重ねて来た友人達。
辛い時も、苦しい時も、楽しい時も一緒だった。
大切な、仲間だ
――でも。
そんな友人達を捨ててでも、手に入れたいモノがある。
恨まれたっていい。
憎まれたっていい。
自分が進むべき道の障害となるなら……。
殺してでも排除するだけだ。
ふっと笑ってから、決意したように腕にブレスレットを嵌めた。
ブレスレットから放たれる闇や狂気が――生徒の心を真っ黒に染め上げた。
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