能力喰いの少女

ちびすけ

prologue

0

 その日も、いつもと変わらない一日だった。


 お母さんが作ってくれた朝食を食べながら、お父さんやお母さん、それに今日は仕事が休みだから一日中ダラダラしていると宣言していたお姉ちゃんと、楽しく喋っていた。

 ただ、今日は日直になっていたから、早めに学校に行かなきゃいけない。

 時計を見れば思ったよりも時間が過ぎていたから、ガツガツとご飯を口の中に詰め込み、急いで食べ終え慌てて家を出る準備をする。

「瑠衣、忘れ物だよー」

「あ、やっばーい!」

 玄関で靴を履いている時、お姉ちゃんが持つのを忘れていたお弁当袋を持って来てくれた。

 両手で受け取り、ありがとうと言いながらドアに手を掛ける。



 急がなきゃ遅刻しちゃう! 



「走ると転ぶよ!」

「大丈夫ー」

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

「は~い、行ってきまーす!」

 お姉ちゃんに手を振りながら、私は家を出る。

 


 それが、私が家族と過ごした最後の日となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る