概要
ある日、異世界へと飛ばされてしまったコウはそこで様々な人々と出会う。魔法を使う魔族と、特殊な道具を使う機械族と呼ばれる人々である。
魔族と機械族は戦争をしていた。コウのその戦争中の異世界へと入り込んでしまったようだ。
元の世界に戻ろうとしたコウだが、その世界で英雄となっていた教え子のユメと再会する。
考え方の違いから、コウとユメは互いにぶつかり合い、傷つけ合ってしまう。
皆が戦争に疲れたとき、コウはある決断をした。
それは悲しくも勇気ある決断、ヴィランとして、ヒーローになることだった!
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!波乱万丈のストーリーに、鮮やかに浮かび上がる深いテーマ性
面白い作品でした。
タイトルの「ヒーロー&ヴィラン」からもっと単純な勧善懲悪のストーリーを想像していましたがいい意味で裏切られました。この物語にはもっと深いものが流れていました。
ストーリーは高校教師の「コウ」とその生徒の「ユメ」が異世界に飛ばされ、それぞれ敵の陣営で戦っていくというのがアウトラインです。ですがここから始まるドラマは、そんなに単純ではありません。お互い相容れぬ陣営同士、そこには内紛があり、戦争があり、戦いはみるみる混迷を深めていきます。
そんな世界の中で二人はそれぞれに活躍していき、戦禍の中心となっていくのですが、やはり一筋縄ではいかない展開が待ち受けていきます。
と、ここま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!大人と子供の狭間、史実に支えられし異世界ファンタジー見参!
面白かったです。一言でいうと、圧倒されました。
概要にもありますように、
主人公竜造寺コウは高校教師。女生徒、羽白ユメの担任という設定。
しかし、ひょんなことから、異世界へ。
コウがヒーローになるのかな。わくわく。この辺りは、実際に読んでみてください(*^^*)
この物語の主軸には「戦争」があり、幾たびの戦いに巻き込まれる主人公たち。ただ、戦うだけではない。
ただ、魔法を魅せるだけではない。
2人の想いもさることながら、異種間の戦争に巻き込まれ、仲間を失い、ヒーロー&ヴィランのテーゼを据えたまま、物語はLASTへ。
……もやもやとします。
でも、これが戦争の在り方であり、正義の定義な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「読ませる工夫」と「考えさせる苦労」
忙しい現代人がネット小説に求めるものとはなにか?
それは読者によって異なるのだとは思うが、やはり“読みやすさ”ではないだろうか? 通勤通学の合間に、ちょっとした休憩時間に、スマホ片手に読むことができるネット小説は、読み手の目に優しく作るべきである。
などとわかっちゃいるのだが、書いているうちにムダに、冗長に、ダラダラと駄文を垂れ流す私のようなタイプもいる。“書きたいこと”と“書かにゃならんこと”は違うんだよと理解はしていても手が止まらないんです。猛省!
さて、本作『ヒーロー&ヴィラン』は、あくまでも読みやすさの見地に立って書かれている。段落は短く区切ってあり、展開が早い。状況の描写は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!妥協しない正義。真のヒーローとは――?
ラストまで読了。キャッチコピーにある通り、『よくある異世界もの』とは一線を画しています。ご都合主義の対極にあると言っていいでしょう。多彩な登場人物のひとりひとりに魅力があり、ストーリーは読者の想定を軽々と越えていくものになっていると思います。一切、妥協がありません。主人公が終盤でとる行動とその結末は、ぜひ多くの方に読んでほしいと思います。ラストまで読み終わったとき、この作品を読み終わってしまったことを寂しく感じると思います。大河ドラマとか歴史モノの長編小説を読んだ時のような充実感と寂寥感と喪失感を覚える、不思議な魅力のある作品です。
- ★★ Very Good!!そこに正解はあったのか。正解を求める心こそ何かに捉われている証なのか。
魔族と機械族、相対する陣営に分かたれた先生と生徒。
正義と悪。子供心に抱えた単純な二元論は歳を重ねるにつれ幼稚なものとして薄れゆくも、いつの間にか気付かないうちにどこかで新たな「正しさ」に縋ってしまう自分がいて・・・
そんな矛盾を克明に映し出すのは、巧妙かつ無駄のない、非常によく練られたストーリー構成。
虚飾を排したシンプルな言葉は、童話的空気を醸し出すとともに、難しいテーマを読み疲れることなく読み切ることを可能にしています。
完璧な解決を求め、自分を犠牲にしても全てがうまくいく方向に突き進む・・・それは確かに尊い行為でありつつも、やはりどこか独り善がりな「正義」に囚われてしまっていた部分は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ヒーローの在り方と結末を考えさせられる大作!!
繊細な描写を省くことで読みやすさ重視にテンポを上げ、しかし淡々と語られるのは濃密な人間ドラマ。これだけの詰め込まれたような展開で読み手を魅了する作者様の技量は必見です。
また、主人公が転移した世界で繰り広げられる国家間戦争にも注目です。主人公が関わってくるのは言うまでもありませんが、実は彼の身近な人物もその世界に転移しており、その戦争に関わっていたのです。となると……何かに気づいて面白くなってきませんか??
ヒーローという結構ありがちなテーマではあるわけですが、他作品と比べた時の決定的な魅力がこの作品にはあります。それはずばり、『ヒーローとして相反する二人のヒーロー』です。これを国家間戦…続きを読む