今週(先週)の公開内容
バシリス・クライム「読書感想文の内容が思いつかず血迷った末」
ハッピーエンド大好き男子高校生の雑賀サイタ——つまり俺。
嫌いな童話が『人魚姫』という時点で色々と察してくれ。
だから最初から見るのを忌避するジャンルというのが存在する。
そう……デスゲーム系だ。次点くらいに最強系か。流行りらしいが、なんとなく苦手だ。
どちらも理不尽だろう。特に前者は確実に犠牲者が発生する仕組みだ。生き残ることで報いとするなんて、俺から見ても傲慢だ。
後者に関しては内容次第と言えなくもないが、それでも主人公だけで問題が解決するならば、その他大勢があまりにも無力だ。
無力感。そう、この胸をざわつかせる嫌な言葉が嫌いだ。
抗うことも許されないような、全てが予定調和へと繋がるために誰かが涙を流す。
全員が幸せになるとは信じていない。けれど物語の中だけでも見たい。
じゃあなにが好きかって聞かれても、困ってしまう話だ。
悲しい涙よりは、悔しくても前を見据える涙目がいい。
理不尽に打ちひしがれるよりも、歯を食いしばって立ち上がる姿が好ましい。
あえて言うならばバトル系だな。悪役が魅力的な某海賊漫画が大好きだ。
昔はあんな感じの固有魔法だったら——と思ったのになぁ。生憎、俺の固有魔法は鱗を操る程度だった。
最近だと西山トウゴに勧められたゲームだな。七人の主人と七匹の使い魔による戦争から派生し、世界観が膨らんだソーシャルゲーム。
まあ世の中には作品というものは波のように溢れ、それこそ大海の中で水滴を探すような途方もない話だ。
一期一会とはよく言ったもんで、興味が湧いても深入りしなければそれっきりの場合も多い。
ネット環境の発展により、流行というのは明確なランキングとして表示されるようになった時代だしな。
流行り廃りは比例する。大好きだった漫画が打ち切られた時の悲しみを、文学風に喩える文才なんて持っていない。
好きなキャラが表紙を飾ったと思ったら、遺影になった巻を読んだ後の虚無感は筆舌に尽くしがたいだろ。
なので選り好みして文句を呟くのも傲慢な所業だが、俺自身のあだ名が傲慢野郎なのであまり気にしていない。
別に酷評をネットに置くわけでもなし、個人の好悪から生ずる感想を作者に伝えるでもない。
胸の内に秘めて、次の作品を見つけるための肥料にしていくようなものだ。
そうしていつか——自分にとって最高と思える作品に出会えたならば、誰かに胸を張って告げる。
俺が一番好きな物語だ、ってな。