今週の公開内容
バシリス・クライム「乙女の恋愛もゲーム感覚で」
(Twitter版は題字を入れ忘れたので、ここで初公開です)
「乙女ゲーの攻略方法って知ってる?」
それを現役男子高校生に聞くか、普通。
俺こと雑賀サイタは胡乱な目になる。目の前にいるイケメン女子である多々良ララが携帯ゲーム機片手に困っているのだ。
なんかぬるぬる動く絵が怖い。Live2Dとかなんとか。よくわからんが、現代技術は二次元に対する挑戦の姿勢がやばいな。
「というか、やるんだな」
「カノンが面白いからって。流行ってるって」
困惑した表情のイケメン女子は、大勢の美形がこちらを微笑んで見てくることに慣れていないようだ。
「ちなみに攻略対象は?」
残念なことに友人の影響である程度は詳しい俺。
一人ずつやっていき、コツを掴んだらハーレムルートやバッドエンド回収するんだとか。
まあゲームによっては異なるらしいけど。そこまでは知らん。
「この……小さいの」
なんか微妙に引っかかる言い方だったが、指先で示されたキャラクターを眺める。
活発系な少年で、運動部に所属らしい。しかし他の美形と比べて、少し平凡ではなかろうか。
あと主人公の女の子が普通に可愛い。これに自己投影できるって、女子はすごいな。
「この男の子を落とすには、体力ステータスや料理スキル獲得が必須なんだって」
どうやら主人公を育成し、ステータスやスキルを獲得していくタイプらしい。
乙女ゲーって選択肢系ノベルゲーム枠かと思っていたんだが、今は多種多様なんだろう。
あとアイドルゲームとか流行ってるよな。妹の一人がストラップ持っていたはず。
「で、料理スキル獲得には、現実の知識が必要らしくて……カレー粉をスパイスから作る方法ってなに?」
「まあ水煮や炒めとか色々あるけど、難易度高くないか」
普通にカレールーを入れてことこと煮込んどけ。なんでスパイスから作るんだよ。
このゲームの主人公「どこにでもいる平凡な女子校生」というキャッチフレーズが、光の速さで逃げていったぞ。
しかも調べたらルートによっては魔王覚醒とか、前世は天使とか混沌としているが……大丈夫なのか。
「このゲームは難しい分、神シナリオが多いんだって」
「へー。ちなみにタイトルは」
――ときキスG*G「君が選ぶ運命の人+」
リメイク版だとか、豪華初回盤という点に関しては横に置こう。
俺、このタイトルめちゃくちゃ知ってんだけど……乙女ゲーにも手を伸ばしたのかよ。
ちなみにG*Gはガールズサイド*グレードディスティニーの略らしい。SとDが抜けている気がしなくもない。
「じゃあ攻略付き合ってね」
断れきれなかった俺は、地底人侵略からの和解ルートで号泣したのである。