今週(先週)の公開内容
バシリス・クライム「ブックに魅せられて」
好きな本ってあるだろう。それこそ千差万別だ。
俺――雑賀サイタが有名な漫画の週刊誌を読んでいる時だ。
「あのさ、アニメ化した鬼? 悪魔? が出てくる……手が異形? いや妹がちょっと変わっちゃう漫画のタイトルわかる?」
多々良ララの問いかけに、心当たりが多すぎてわからない。まず情報が曖昧すぎるんだよ。
まあ、今話題のアニメだろ。西山トウゴが読み進めながら「どうして皆いなくなってくんだよぃいいいい!」と叫んでいた。ネタバレ許すまじ。
「普段は少女漫画しか読まないから……少年漫画はよくわからない」
「へぇ……でも普段は文庫だよな?」
「うん。小説の方が好き」
イケメン女子はクールに回答する。まあまあ予想どおりだがな。
「僕は絵本が好き!」
鏡テオが話題に参加してきた。手には有名な青い魚の絵本。よく読んだわ、それ。
すると部屋のソファに寝転がっていた枢クルリがぼそりと呟く。
「電子書籍派。海賊版は根絶するべし」
そういえば製作者に敬意を払うタイプだったか。けど電子書籍……悪くはないが、いまだに慣れない。
やっぱり紙の感触が好きだし、風呂場に持っていくことを考えると、紙媒体はまだまだ需要が高いだろう。
「ヤマトは?」
「長寿系漫画が曾爺ちゃん達が好きでよく集めてたので、それを読んでるっす」
爺どもの影響力が強すぎる。あれだろ、青い猫型ロボットとか七つの玉を集めるやつとか、下町の警官ものが全巻揃っていそうだ。
「そこの眼鏡は参考書だろうから、省略」
「クルリぃっ!! 馬鹿にするな! 自己啓発本とかも買っているぞ!」
天鳥ヤクモだとそれは駄目そうな気がする。赤線を引いて満足して終わるか、悪影響になるかのどちらかだろう。
今も赤本を読んでるし。受験生って大変だよな。いつかは我が身なんだがな。
「シュウは?」
「お兄さんはお客さんとの会話が重要だから、本屋のランキングや話題本、ドラマの原作本とか重視かな」
「雑読系か……」
「まあ一番好きなのは新聞紙かな。勉強になるから。あとは青色申告とか、資格習得本とか」
大人な感じがする。かっこいいな。
「あ、でもお兄さん……女性向けの……男同士のあれは、その……」
顔を青ざめさせた青路シュウはそれ以上言葉を紡げなかった。
そして俺達も深く聞けなかった。今は詳しく言えないが、いつかは知るであろうやばい事柄だからだ。
なんにせよ、読書って個人差が出て面白いよな。これで終わりにしようぜ。