第27話 効率狩り
「素晴らしい出来だ。まさかこんな短期間で完成させてくれるとは夢にも思わなかったぞ。これは約束の報酬だ」
サラマンダー狩りで赤の魔石を手に入れた俺は、早速
出来た杖を鍛冶ギルドへと持ち込み報酬を受け取る
「ゴッドニウムゲットだぜ!!」
『げっとだぜー』
「喜んでくれて何よりだ。しかしその様子だと……伝説の武器で、あるSSSランク装備の製作に挑むつもりとみたが……」
「ええ。まあ今すぐにって訳じゃありませんが。ゆくゆくは挑んでみようかと考えています」
SSSランク製作のスキル取得には、レベルが90以上という条件がある。
現在俺のレベルは80なので――青と赤の魔石を取る為に魔物を狩って10個ほど上がっている――もう10レベル上げる必要があった。
レベル上げは80から一気に必要経験値が爆増するからな。
これまで程サクサク上がったりはしないので、SSSランク製作はしばらく先の事になるだろう。
後、製作素材も二つ足りていないので、それも取りに行く必要がある。
「普通に考えれば夢物語なんだろうが……君程の天才なら、ひょっとしたら可能なのかもしれん。期待しているよ」
「ありがとうございます。それじゃ俺は」
ゴッドニウムさえあればもう用はない。
さっさとギルドを後にし、俺は早速レベル上げ狩場へと向かう。
当然向かうのは80台の経験値効率狩場。
OTLの人気者、皆大好きカニさん狩りである。
――キングクラブ。
通称カニさんと呼ばれ、金銭的にはゴミオブゴミだが、それを気にさせない程の経験値タンクとなっている人気モンスターだ。
特徴としては防御とHPが多い高耐久であるため、普通にやると非常に倒しにくい相手だ。
だが定期的にやって来る両手を振り上げての溜め攻撃時に腹部が大弱点扱いになるので、その事を知ってそこに攻撃を叩き込めれば案外あっさり狩る事が可能となっている。
相手の攻撃で気を付ける点はカニブレス――シャボン状の泡を飛ばして来る攻撃で、ダメージは大した事はないが喰らうと動きが遅くなる。
これがある為バグリンのブレスによる引き狩りには向かない。
そしてもう一つ気を付けなければならないのが、件のアタックチャンスである両手振り上げ攻撃だ。
こっちは喰らうと今の俺の防御力では結構シャレにならないダメージになるので、攻撃に夢中になり過ぎないよう注意しなければならない。
「ひゃあうんめぇ!」
蟹は想像以上にサクサク狩れた。
バグリンのアシッドブレスと短剣のオプションである鋭利が合わさってか、ダメージが良く通ること通ること。
バグリンのニードルもあるし、正にサクサクである。
因みにカニの経験値は同じレベル90代のシードラゴンアントや、サラマンダーの5倍以上貰えるので本当に美味い。
ゲームだと人気狩場でいつも人でごった返していたのに、独占できているのも大きかった。
極端に上がり辛くなる80台だというのに、想像以上にレベル上げが捗る。
……これなら2週間もあれば90になれそうだな
『うんめぇ、うんめぇ』
特に意味も分からず俺の真似をするバグリンを微笑ましく感じながら、俺は狩りを続けるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます