第58話 カンスト
「よし!レベル99達成!」
遂にレベルがカンストする。
まあ遂にとはいっても、婆さんの魔法による範囲狩りは頭おかしい効率を叩き出すので、たった1月ほどで達成してしまったが。
因みに、95からはそれまでの必要経験値が5倍に跳ね上がる素敵仕様だ。
MMORPGあるあるだな。
アップデートなんかでレベル上限が解放されると、そのレベル帯の必要経験値が頭悪いぐらい跳ね上がるのは。
意地でも簡単には上げさせないぞという、開発陣の思いが詰まった心温まる仕様と言えるだろう。
ま、そんな事はどうでもいいか。
とにかくこれで俺もレベル99だ!
「わーいわーい」
「ふふふ、おめでとうございます」
「おめでとうさん」
ユミルにサミー婆さん。
それとバグリンが俺のカンスト達成に祝いの言葉をくれたり喜んでくれる。
それ自体は有難い事なんだが、どうも釈然としないんだよなぁ。
――何故なら全員、レベルの上限が100を超えているから。
味方である以上、それは完全にメリットでしかない。
バグリンに至ってはダイレクトで俺も強くなれるし、良い事尽くめだ。
だがどうしてもなんというかこう、ちょっとやっぱり気になってしまうんだよな。
最終的に俺だけレベルが低くなるのが。
ま、数字なんて気にしてもしょうがないか。
強さで言うなら、俺も相当なものな訳だしな。
「さて、狩りはここまでだな。ユミルさん。サミーさん。手伝ってくれてありがとうございます。それにバグリンもありがとな」
「えへへへ」
「気にしなくていいさ。館でじっとしてるより、昔を思い出せてずっと楽しかったからね」
「私もですよ。立場上神殿からおいそれと出られない身なので、こうして外に呼び出させて貰えるのはとても楽しかったです。出来たらこれからも、じゃんじゃん呼び出してください」
二人はその立ち位置上、気軽に外を出歩けない。
俺の狩りの手伝いが息抜きになったのなら幸いである。
そう考えると、二人はほんと大変だよなぁ。
ま、他人事だからどうでもいいけど。
「それじゃ、戻しますね」
「用が済んだら早速ポイかい?そんなじゃ女にモテないよ」
ほっとけ。
図星ではあるが余計なお世話だ。
「さて……それじゃ、あそこに行って武器のグレードアップだな」
遂にレジェンドプラスをこの手に!
俺はウキウキ気分で狩場から帰還し、そしてとある森へと向かう。
正確にはその森の中にある湖にだ。
そんな場所に一体何があるのか?
まあ行けばわかるさ。
『タカダ様。伝え忘れていたのですが、竜の心臓を使ったアイテムが完成しましたので是非取りにいらしてください』
『あ、ほほんとですか!じゃあ今すぐ向かいます!』
『ふふふ、お待ちしてますね』
製作してくれると約束していた素敵アイテムが完成した様なので、まず先にそっちを貰いに行くとする。
反射的に直ぐに取りに行くと言ってしまったから。
……ま、どっちが先でも構わないしな。
という訳で、俺は行き先を変更して神殿に向かうのだった。
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