第59話 上限突破
ユミルと初めて顔合わせをした神殿の聖樹の園。
「こちらです」
そこでユミルに小さな紐付きの巾着袋の様な物を手渡される。
恐らくタリスマン系なのだろうが……
「きっと気に入って貰えると思いますよ」
気に入るって言いきったな。
――俺のタリスマン枠は既に埋まっている状態である。
超強力なユミルから貰ったペンダントと。
サミー婆さんから借りているこれまた超強力な指輪で。
あ、因みにOTLのタリスマン効果は二つまでな。
「確認させて貰ってもいいですか?」
ペンダントが固定である事を考えると、婆さんからの借り物と二択になる訳だが……
ユミルも指輪の効果を知っているので、このポチ袋はそれ以上の物、もしくは、状況次第で付け替える選択が出て来る程の物である可能性が高い。
渡した本人が自信満々っぽいし。
「ええ、どうぞ」
許可を貰ったので、巾着袋をポケットに入れるふりをしてインベントリに素早く収納する。
保安上、装備とか身に着けたりしたら不味い場所だからな。
アイテムを自由に出し入れ出来る事を周囲に知られると、面倒な事になってしまう。
だからバレない様にポケットに突っ込むふりをして誤魔化したのだ。
まあユミルは俺の能力を知ってる訳だが、彼女はそう言った部分に気を聞かしてくれるので心配ない。
――聖女のお守り。
聖女が生み出した奇跡のタリスマン。
身に着けた際、全てのステータスが10づつ上昇する。
更にお守りの中にタリスマンを二つまで入れる事が出来、中に入っているタリスマンの効果も得る事が可能。
「……」
アイテムの情報をチェックした俺はその場で固まる。
その想像以上の効果に。
「マジデスカ?」
全ステータス10上がるだけでも通常のタリスマンを超える効果だが、もはやそれがオマケに見える程もう一つの効果っが狂ってる。
『更にお守りの中にタリスマンを二つまで入れる事が出来、中に入っているタリスマンの効果も得る事が可能』
これってお守りを使えば、タリスマンの効果を三つ受ける事が出来るって事だよな?
既存の二つまでという装備の上限をぶち抜くとか、聖女様えぐすぎ。
やバグに等しい効果を持つ装備を生み出すとか、もはや何でもありだなこの女は。
あ、もちろんいい意味でだぞ。
バグだろうが何だろうが、俺にとってプラスになるのなら大歓迎だし。
「素晴らしいですね。ありがとうございます」
本当は立ち上がってガッツポーズからの雄叫びを上げたい気分だったが、前回それで守衛に取り押さえられているので、今回はぐっと堪えて笑顔で礼を言うにとどめた。
なーに、俺だって学習ぐらいはするさ。
「ふふふ、気に入って貰えて何よりです」
「また何か御用がありましたら、いつでも俺を頼って下さい」
遠慮せず仕事を頼んでくれていいんだぞ、ユミル。
何せタリスマン枠はあと一つ残ってる訳だからな。
ぐふふふ。
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