第28話 営業スマイル
「よし!90達成!」
『たっせーい!』
予定通り2週間ほどでレベル90に到達。
レベル上げは一旦ここで区切り、此処からはSSSランク装備の製作に移る。
集めるべきピースは二つ。
一つ目はスキルだ。
これはイベントを熟せばいい。
もう一つは素材である。
どちらかと言えば、此方の方が面倒だ。
まあとは言え、一番入手難易度が高いゴッドニウムは既に入手済みであるため、そこまでという訳ではないが。
「まあまずはイベントだな」
始めるにはダンジョンの奥まで行く必要があった。
とは言え、イベントは製作スキル取得であるため、その難易度は決して高くはない。
という訳で早速、俺は巨匠の墓と呼ばれるダンジョンへと向かう。
出て来るモンスターは
魔剣ムサールは索敵範囲が狭いため余程近づかない限り襲ってこず。
アーマードの方は足が遅いので、その大半は無視する事が可能となっている。
「あれ?美味しそうか?」
俺はダンジョン内にいる魔剣を指さし、バグリンに聞いてみる。
『ううん』
武器を好んで喰らうバグリンも、流石に魔剣には食指が動かない様だ。
まあ剣の形はしていても、その本質はモンスターなのだから当たり前か。
「よし、じゃあ走り抜けるぞ」
魔剣を避け。
襲って来るのろまな鎧を振り切って先に進む。
さっきも言ったが、製作系のスキル習得用の場所なので、先に進むのは簡単だ。
とは言え、奥に行くとモンスターの密度が上がってくるので、ある程度処理して行かないと駄目だが。
その際に注意しないといけないのが、魔剣をひっかけない事だ。
堅いだけの鎧に比べて、こいつは対処がし辛い。
それに俺の短剣は一部防御を無視するオプションがついているし、バグリンの酸があるから、鎧の処理がすこぶる楽だしな。
「よし、辿り着いた」
ダンジョンの奥にあるのは一つの巨大な鍛冶台だ。
これはかつて伝説の鍛冶師が使っていた物だが、経年劣化などは一切見られずピカピカである。
まあ何らかの力で守られているのだろう。
俺はその鍛冶台に、自分の作ったSS武器と防具セットを置く。
あ、もちろん俺の持ってる装備とは別物な。
これ、普通になくなる糞仕様だから。
まあSSSランク製作スキルが手に入るなら、安いコストと言えなくもないが……
一般人には気軽に手の出せない額である。
まあこれが気軽に出せない層は、そもそもスキルを覚えても製作すっる事自体難しいが。
超高額な素材を集めては失敗してを繰り返す訳だからな。
「これは貴様の作品か?」
鍛冶台の背後に、体のすけた巨体が姿を現す。
イベントNPC。
伝説の鍛冶師の亡霊ヘパイトスだ。
『わー、おっきぃ』
鍛冶台の前で胡坐をかいているにもかかわらず、ヘパイトスの視線は俺よりずっと高い。
巨人と言って差し支えない体躯をしているが、こいつはこれでもドワーフだったりする。
え?
ドワーフなのにデカすぎないか?
しらん。
OTLではそう言う仕様だ。
「ええ。俺の作った物です」
「悪くない出来だ。しかし……態々こんな場所にまでやってきて、こんな物を俺に見せたって事は……」
「はい。貴方の教えを請いに来ました」
おう、さっさとSSSランク装備を作れる超越級装備制作を教えろや。
という気持ちをオブラートに包んで、満面の笑顔で答える。
これぞ営業スマイルって奴だ。
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