第21話 逃げ撃ち
本日のお相手は、シードラゴンアントという魔物である。
ドラゴンなのか蟻なのかどっちなんだよって名前をしてるが、まあ蟻の魔物だ。
設定だと、陸地に打ち上げられた海龍の死骸を蟻が食べた事で進化したって事になっている。
普通なら死骸食って進化とかあり得ない訳だが、まあそこはファンタジーゲームの世界なので何でもありである。
蟻は通常群れを組む生き物だが、シードラゴンアントはドラゴン強力な力を得たためか単独活動が基本だ。
なので群れで襲われる様な心配はない。
とは言え、高機動力に加え強力な噛みつき攻撃、さらにその外骨格は堅く、ある程度の攻撃力を確保しないと狩る事すら難しい強敵となっている。
「よし!バグリン攻撃だ」
『えーい!ぷぷぷぷぷぷぷぷ!』
浜辺をうろついていたシードラゴンアントに、バグリンのアシッドバレットで先制攻撃をかます。
この攻撃、実は結構射程が長い。
「ギチチチチチチ」
攻撃を受けた魔物がこっちに突っ込んで来る。
当然俺はそれを迎え――
うたない!
バグリン肩に乗せたまま、俺は真っすぐ反対へと向かって走る。
何故なら下手に俺が殴るより――殴ってると飛沫が飛んで俺にも結構なダメージが来てしまうので、近接戦時は使えない――再使用までの時間を稼いでバグリンのスキルを使って倒した方が効率がいいからだ。
俺の攻撃が弱いってものあるけど、どうもアシッドバレットの酸による腐食攻撃――ゲームには無かった属性――が弱点っぽい。
「ギシュウウウウウウ」
スキル三発目で蟻が沈む。
そして何かがドロップする。
「お、マリンストーンだ」
海の石とかいてマリンストーン。
SP回復ポーションの素材にあるアイテムで、そのまま使っても少量のSPが回復するアイテムとなっている。
ドロップ率は比較的高め。
「これで製作が捗るな」
結局MPが足を引っ張る事になるので休憩が必要な事には変わりないが、それでも少ない方のSPを回復出来れば効率は倍増する。
という訳で、俺は迷わずバグによるアイテム増殖をおこなう。
「よし、じゃあ次いくか」
『おー』
頼もしい相棒のお陰で楽ちん極まりない狩りを続ける。
ドロップ率はそこまで低くないが、高くも無いので50匹ほど狩ってやっと素材アイテムを入手。
青の魔石ゲット!
やったぜ!
俺が普通に戦ってたら確実に倍以上の時間がかかっていた事だろう。
ほんと、良い拾い物をしたもんだ。
「よーしバグリン。スキルを覚えたら俺がすっごい美味い武器作ってやるからな。楽しみにしてろ」
『わーい、わーい』
素材を手に入れた俺は街に戻り、早速SSランク武器製作に取り掛かるためスキル習得へと向かう。
あ、因みに、SSランクは魔石以外はSランクと全く同じ素材で作る事が出来る。
なので素材は魔石だけ拾えればいいのだ。
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