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爆発するんじゃないかと思った。

やっぱりこの人に恋をしてしまったのだな。

俺としたことが。


なるべく先生を見ないようにした。

レッスンに集中した。


いつもだったらどう声をかけようか、どうきっかけを作ろうか算段するのだが、

それができない。

なにもできない。

それどころか、早くここを立ち去りたかった。


なんてことだ。


俺は本当に恋したことがなかったのだろうか。


胸が熱くて苦しかった。


本当に恋をするとこうなるのか。


顔がほてってきた。


レッスンが終わるころにはゆでだこのようになっていた。

頭から湯気が出てないか心配になった。


それでもなんとか冷静を装いお疲れさまでしたと言いレッスン場を後にした。

確かめるも何もなかった。

先生といる時間が苦しくもあり、大いに満たされてもいた。


次のアクションが思いつかなかった。

彼女をものにしたいという今までのアクションが通用しないことは明らかだった。

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