17
こんなところで声をかける人間じゃないのにな。
なんかむしゃくしゃした。
女に飢えすぎているからか。
とは言ってもなあ。
ひとりじゃ持て余してしまうんだよなあ。
高校の時からずっと居たからなあ。
駅まで道々そんなことを考えながら歩いた。
もうかなり遅くなっていたが、それでもスーパーに寄り、
食材を買った。
遅い夕食と明日の弁当の準備もした。
女が居ても家のことは全部自分でやる。
だから女が居なくても不自由はしない。
ただ寂しいだけだ。
ちくしょう。
次の出勤日の昼、経理に行った。
もちろん用などない。
新人は席にひとりで座っている。
こんどは同期に会うこともなく新人の席まで行った。
「成島と同期?」
成島は、部署の新人だ。
「はい。」慎重に俺を見ながらうなずいた。
なんで来たんだろうという顔だ。
「成島には言ったんだけど、今度うちらの部署と飲み会をしないかって話聞いてない?」
「いえ」とやはり慎重な態度だ。
「時々部署間で飲み会をするんですよ。今度来ませんか?」
こういう誘いに乗るタイプか、乗らないタイプか。
乗らないタイプならまあいいさ。俺のタイプじゃないってことだ。
ちょっと考えている。これは断り方を考えているんだろう。
はずれか。
「どなたが参加されるんですか?」
おや!乗る気か。
実際そんなものないから、誰の名前を挙げようか迷った。
「まだ細かくは決めてないけど、誰がとか居ます?」
なんとサブローの名前を挙げた。え!?
なんということだ。
「知ってるの?」
「大学の先輩です。一度就職のときにプレゼンして頂いたのでお礼を言いたいと思っていたんです。」
そういうこと?サブローの後輩なのか。
とりあえずそれならセッティング可能だ。
「じゃあまたメンバー決めてから来るね。」
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