11

ようやく英語の日になった。

少し早く行きヨシミさんの隣になるだろう席につく。

ここに座るのは厚かましいと思われるかもしれない。

でも、お目当ての女性がいるのにしりごみなんかしてる暇はない。

自由席だし。


だんだん人が集まってきた。

なかなかヨシミさんは来ない。


先生が来て会が始まってしまった。

休むこともあるのか。

軽くショック状態になったが、気持ちを入れ替えてまだ話していない他の女性に目を向けた。


まずは思ったより年齢が上かもしれないと思った女性が斜め前に座っている。

見た目は若い恰好をしている。

ただ物腰はかなり落ち着いていて年がいっているようにも見える。

それからその隣にもうひとり。

間違いなく若い。

学生かもしれない。

かなり積極的だ。

毎回発言している。

あともう一人。同じ側に座っているのでよくわからない。

モロズミさんのふたつこちら側だ。


休憩時間になって同じ側のもう一人に話しかけてみた。

年齢は同じぐらい。

背が小さくて丸い顔をしている。

名札にはMINAと書かれていた。

「ミナさんは長いんですか。」

常套句だ。

「二年ちょっとになります。」

「そうなんですか。」

「この会が好きなんです。どうですか?」

「まだよくわからないんですけど、これだけ英語漬けになればしゃべれるようになるかもしれないと期待してます。」

「じゃあ私みたいのは参考にならないわね。なかなかしゃべれないもの。」

「そんなことないですよ。さっき話されてたじゃないですか。」

「ああ、でもしどろもどろっていうか。まだ考えなければしゃべれないんですよ。」

「やっぱり考えずに自然にしゃべれるみたいなのが理想ですか。」

「そう。そうなの。言語ってそうでしょ?」

「私もそう思います。」


思いのほかまじめな話になってしまった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る