32
レッスンまでの1週間、ずっとそわそわした。
青田が、
「何か心配事がおありですか?」
と聞いてきた。
「そう見えるか?」
「すみません、いつもと違うと思います。」
そうか。俺はわかりやすくなっているのだろうか。
どちらかと言えば、その反対側のタイプなはずなのに。
「俺なんか変に見えるか?」
サブローにも聞いてみた。
「なんだよ急に。なんかいいことでもあったのか?」
「青田に心配事があるかって聞かれたよ。」
「そうか。僕には、うれしいことがあったように見えるけど。」
「ほんとか?」
「出来たのか?」
「そう簡単には出来ないさ。でも、まあ、いいか。」
「めずらしいな、隠し事か?」
確かにサブローにはなんでも話す。
でもこれはまだ話す気になれない。
「隠し事かあ。そうなのかも。」
サブローはそれ以上は聞かなかった。
あこちゃんと話す機会もあった。
「レッスン行ってきたよ。」
「ゆみこ先生からも聞いた。」
「そう?なんて言ってた?」
「楽しそうにしてたって。」
楽しそうにか。レッスンの時は気づいてなかったからなあ。
自然に振舞うことが出来てたかもしれない。
「楽しいよ。声を出すっていいね。」
あこが、人って変わるものねって顔をしている。
「来月飲み会の予定を決めてるの。来るでしょ。」
「ほんとに?行くよ。行く。」
ちょっと食いつき気味になってしまった。
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