46

少しでも気晴らしがしたくて、会社に行くときは青田や成島と話すようにした。

どちらも話好きではないが気楽に話せるからだ。


「今日はめちゃ暑いな」

「35度超えるそうです。」

「そうか。真夏だな。」

「いいえ、まだ夏になったばかりです。」

「そうだな。まだ6月だしな。」「暑いのは好きか?」

「得意ではありません。」

「冬の方が好きか。」

「冬も得意ではありません。」

「じゃあ得意は春か秋か。」

鼻で息をしている。

「得意はありません。」

おかしなやつだ。


「成島、森山先輩とはうまくやっているか?」

皮肉な笑い顔をしている。

「うまくやらなきゃだめだぞ。」

まだ笑ってる。

「まじめないい先輩だろ。」

笑いが取れない。

「大好きじゃなさそうだな。」


次の日、養田さんとも話をする。

「今年も暑くなりそうですね。」

「そうだなあ。暑いのは苦手だね。」

「そうですかあ。私は暑いのは好きです。寒いのが苦手です。」

「そうかあ。寒いのも苦手だな。」と笑う。


森山さんとも話す。

「成島はいい後輩だろ。」

「そうでしょうか。」

「不満があるんだったらなんでも話してください。」

「不満はありません。」

「そうですか。まあうまくやってください。」

ぶすっとした顔をしている。

今度サブローと飲みにでも誘おうか。飲めば色々吐き出せるだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る