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話をすれば気晴らしにはなるけれど、ひとりになると何も変わらない。

そわそわしているし、胸が苦しかったりする。

時々目をつむり深呼吸をする。

処方箋もなければ、食事療法もない、もちろん病院で治すことも出来ない。

ざわざわしているし、時々先生の笑顔を思い出してドキドキしてしまう。


今日はまっすぐ家に帰らず、街中を夢遊病者のようにふらふらと歩いた。

カップルに目が行く。

先生に彼氏が居るとわかったらこの状態はどう変化するのだろう。

今の状態から脱するには、やはり知ることかもしれない。


どうやって知るかだ。


レッスンで聞くのは難しい。


飲み会か。


あるいは人づてか。


考え事をして歩いていたら、前の人とぶつかりそうになってはっとした。

しっかりしろ!


あるいは何もせず流れるままに任せるか。

それが出来ない性格なんだ。

何かしないと落ち着かないのだ。


単刀直入に先生に聞くべきか。


それが一番自分らしいのに、出来ない。


見栄っ張りが邪魔をする。

なぜ?彼氏が居ることが怖いから?

冷静に聞くことができない状態が恥ずかしいから?

それかもしれない。


こういう時、羞恥心は捨てるべきだ。

それが勇気ってやつだろう。

震えた声で直接聞くべきなのかもしれない。

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