45
学生の頃から彼女が居たし、なんというか女性に対して気後れしないというか、
女性が苦手なタイプをなんでだよう、もっと気楽に話せばいいのにとかずっと
思ってきた。
つい最近までサブローにもそう思っていた。
ところがまるで、初めて恋をした中学生みたいになっている自分が信じられない。
よくよく考えてみれば、今までの彼女は恋愛の対象というよりも彼女が居るという
状態を維持するための存在でしかなかったのかもしれないとさえ思えてきた。
こんなこと言ったら、薄情者と思われてしまうかもしれないが、
なんというか、ただの見栄っ張りと一緒だ。
それが今回は違う。
全然違う。
日常生活も平常心を保てないぐらいに心が乱れている。
それもまだほとんど知らない人に対してだ。
こんなことが起きるなんて。
どうしたらいいのかさえわからない。
ただ何もしないのが苦痛だから、少しでも会う機会を作ろうとしているだけだ。
もっと先生のことを知りたい。
そうすれば少しづつ前に進むようにも思える。
やはりあこちゃんに話して、少しでも情報を得たほうがいいのだろうか。
ほぼあこちゃんは察しているようだし。
でもなぜだか抵抗があって、そう出来ないでいた。
人に自分の心の中を見られるような気がして、そういったことに慣れていないからかもしれない。
今日もサブローに用があったらしくあこちゃんが部署にやってきた。
時々俺の方をちらっと見たりしていた。
でも直接その話をしには来なかった。
あこちゃんなりの優しさなのか。
あるいはサブローが気を利かせているのか。
こういう状態でいるのは好きではないが、とにかく今はまだ平常心が取り戻せていないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます