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そのあとは俺のことは置いとかれていろんな話題が次から次に出てきて

わいわいがやがや盛り上がった。

みんな歌を歌うだけあって声がでかい。

先生もそれに応じて笑ったり歓声をあげたりノリがいい。

また違った一面を見た。

俺は先生と居るだけで幸せな気分を味わっている。

当然、酒もいつもより進む。


ただ、肝心の問いは投げかけるチャンスが来ないでいる。


何かそういう話になれば流れで聞くチャンスはあるだろうと思いつつ、

みんなの話題に一緒になって楽しんでいた。

これはこれで楽しいからいいやとも思ったけど、このままでは終わりたくなかった。

かと言って突然流れを切って彼氏居ますかなど聞けるわけがない。


今日の先生はレッスンの時とは違って薄いピンクの柄の入ったクリーム色のブラウスと白いふわっとしたスカートを

履いていてフェミニンな雰囲気を漂わせている。

レッスンの時はどちらかといえば男勝りでずんずん進める感じだが、

こういう時は可愛らしさや朗らかさがあって、またこれも魅力的だなあと思って見ていた。


自分がどんなタイプの女性に惹かれるか今まであまり考えたことがなかったが、

先生を見ているとこういう女性がタイプだったのかと思わされた。

なんていうのだろう、強さとかわいさを兼ね備えた女性だと思う。


大いに盛り上がって二次会はお開きになった。

もしかして三次会もあるかと思ったが、

これもいつも通りらしく、解散になった。


先生は女性二人と帰り道が一緒のようで駅に向かっていった。


チャンスは訪れなかった。


口惜しかったが、幸せな気分でもあった。


また次のチャンスを待とう。

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