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レッスンの終わりに飲み会の話になった。
おじさんは仕事で参加しないという。
おばさん二人は、土曜は用事があるという。
参加するのはおじいさんだけだった。
帰り道、おじいさんと一緒になった。
ちゃんと話すのは初めてだった。
おじいさんが話しかけてきた。
「お酒は好きですか。」
「はい。」
「ほう、普段何を飲みますか。」
「ウィスキーが好きです。」
「いいですな。」
差しさわりのない会話だ。
「ゆみこ先生のレッスンはどうですか?」
「あ、そうですね、楽しいですね。」
先生の名前が出てドキッとした。
「浜治さんは、どうして習い始めたんですか。」
「わしですか?ジャズの歌ものが好きなんですよ。」
「そうなんですか。」
「グループレッスンは楽しそうだと思ってね。」
「いつからやられてるんですか?」
「もう3年目です。全然上達しません。」と言ってはっはっはっと笑った。
「そんなことないですよ。」
実際、浜治さんの声は太くていい声をしているし、楽譜も読めるみたいだ。
謙遜しているのだろう。
「音楽はやられてたんですか?」
「全然。下手の横好きですよ。」と笑顔だ。
ここでふと、ゆみこ先生の情報が何か聞き出せるだろうかと思い浮かんだ。
「ゆみこ先生のことを知っていてここにしたんですか?」
「そうです。もともとは先生の歌のファンなんですよ。」
「じゃあライブとか行かれていたんですか?」
「そうですね。ずいぶん前からです。」
そうなんだ。そうか、先生のライブに行くって手があったか。
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