ドルヲタサブロー外伝３

21

輪のメンバーひとりひとりに挨拶している。

俺にも挨拶してくれた。

ヨシミさんの左隣の人が台湾はどうでしたか、と聞いている。

どうやら前回は旅行に行っていたようだ。

どういう身分なんだろう。

まもなくして先生が来て会が始まった。

SDGsについてだ。

事前にそれなりに調べていたから英語がわからないなりにも話についていけた。

それでも発言はしなかった。

休憩時間になり、またこの間の輪が出来た。

さっそく台湾旅行の話になった。

４日も行っていたようだ。

ちょっと間が出来たので聞いてみた。

「中国語も習ってるんですか？」

「習ってない」と笑って答えてくれた。

この子は、どんな人にも愛想がいい。

魅力的だ。

でも俺みたいな人間には合わない気がした。

どちらかというとちょっと陰があるぐらいがいい。

そういった意味でいくと、向かいにいる経営者の方が好みかもしれない。

輪を離れた。

向こう側に行く前に、最初に声をかけた子がひとりになっていたので、そこで止まった。

「海外には行ったことありますか。」

「ないです。」

「そうなんですか。じゃあここで英語を習ってからですね。」「どこか行きたい国とかありますか。」

ちょっとはにかんでいる。

基本的に社交的ではないようだ。

「アメリカとかですか？」

考えている。それとも俺に話しかけられて困っているのか。

「イギリス」

消え入りそうな声で答えてくれた。

「イギリスですか。いいですね。」

でもここの先生はアメリカのネイティブだ。

そこは触れないでおこう。

「私も行ってみたいなあ。ヨーロッパ行ったことないんですよ。」