22

別に焦っているわけではない。

でもせっかくこの会に参加したのだから、成果をあげたい。

そういう気持ちがいけないのか。

そもそも英語を習う気がないんだから。


MOROZUMIさんとの会話は進展しなかった。


清楚で整った顔立ちをしているけど、このタイプは苦手だ。


FUMIKOさんがやってきた。

正直フミコさんの方が話しやすい。

なかなか発言しないじゃないとご指摘を受けた。


「いやあ一応調べてきたんですけど。」

「じゃあしゃべった方がいいわ。」

「でもなんというか会話としてしゃべるのって難しいなあと思いました。」

「なんでもいいのよ。」

そういうフミコさんだって発言などしていない。

「あれ、フミコさんしゃべってましたっけ?」

「あっ、ばれた?」と言ってケタケタ笑っている。

モロズミさんも少し笑った。


ふとフミコさんは結婚してるのかなと思った。

いやいや、そこまで守備範囲は広くないぞ。

そう考えただけで可笑しくなって俺も笑った。


「モロズミさんもしゃべったことありますか?」

やっぱり俺と話そうとすると緊張してしまうようだ。

「それがあるのよう。」とフミコさん。

「そうなんですか。」

ちょっと意外だ。

またはにかんだような表情をする。


キュンとするんだけど、やっぱり苦手だ。


フミコさんの方が気楽に話せていい。


なかなかうまくいかないもんだ。

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