大戸島の娘　第三部　光らぬ子

希望と名付けられた二人の子。
一人は中国の農村工に生まれた貧しい少年。そして、もう一人は日本の大戸島に生まれた少女。
しかし、二人は、その希望という名前とは程遠い、絶望の人生を送ることとなる。
少年は、やがて自分というものと中国への希望を取り戻す自身の闘いをはじめるようになり、少女は、絶望の中にあるかすかな希望を見出す。それは、世界における自己の存在の意義であった。

マリア降臨の日以来、全人類は自己の怒りを抑え、笑うようになった。
しかし、それはかりそめの平和でしかなかった。

そして、さらにマリア降臨の日から一年後、アメリカで暮らしていた真理亜と真太は日本国政府に呼び戻された。
そこで井上和磨たちから依頼されたのは、大戸島から消えた芹沢博士の一人娘芹澤希望と、同時に行方不明になった人民解…続きを読む