異性の好きな仕草No.1
とある休日の昼下がり、我が家のリビングにて。
「――ねえ
ひたすらに
「女の子の好きな仕草、って何かある?」
「……なんだよ、突然」
暇潰しの質問にしても唐突だ。
虚を突かれた俺が顔を上げると、彩園寺は返事の代わりに端末の画面を向けてきた。表示されていたのは
「こういうことされるとドキドキする、ってやつね」
「この際だから、篠原が変態なのかどうか見極めてあげるわ」
「……変態って」
「ランキングとズレてたら変態ってことか?」
「そういうわけじゃないけれど」
「とんでもなく
「…………」
もし仮にそんな下心を秘めていたとして、堂々とバラすことはないと思うが。
「にしても、好きな仕草か……」
急に言われるとなかなかに難しい。定番は上目遣いやらボディータッチに類するものやら、萌え袖なんかも入ってくるだろうか。
あとは、
「髪を
ふと思い付いた言葉を口に出す。
「これも定番っちゃ定番だけど、教室の中じゃあんまり見ない場面だからな」
「
「……ユキのこと、狙ってる?」
「そ、そういうわけじゃないって」
彩園寺のジト目にぶんぶんと首を横に振る俺。
「ふぅん……」
そんな俺に対してしばし不審な表情を向けていた彩園寺だったが、やがて「まあいいわ」と静かに首を横に振った。それからおもむろに両手を持ち上げて、赤の髪を結わいていたリボンをそっと外す。
ふわり――と、長い髪が俺の眼前で舞った。
「……へ?」
「な、何よ、篠原」
「あたしじゃドキドキしてくれないわけ?」
「い、いや……」
髪を下ろした彩園寺。
「正直」
「……めちゃくちゃ、ドキドキした」
「っ!?」
「そ、そう。……べ、別に? あんたにドキドキされても、嬉しくなんかないけれど」
片手で頬杖を突いてそっぽを向いてしまう彩園寺――。
その首筋は、いつしか真っ赤に染まっていた。
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