彩園寺更紗

天才的な誘導?

 桜花の《女帝》こと彩園寺更紗さいおんじさらさと俺は、愚痴会やら単なる暇潰しやらの目的でよくメッセージのやり取りをしている。


『ねえ篠原? しりとりでもしましょう。それも、単語じゃなくて文章で』


『メッセージ上で、ってことか? 別にいいけど』


『〝ど〟うなっても知らないんだから。ちなみに、戦いはもう始まってるわ!』


『……〝わ〟りと唐突に始まるんだな』


『〝な〟にも対策してない篠原にはちょっと難しいかもしれないわね』


『〝ね〟ーだろ、こんな特殊競技の対策する機会なんて』


『〝て〟きとうに打つだけでも成立しちゃうものね』

『じゃあ適度な縛りとして……そうね、篠原はあたしのことどう思ってるの?』

『じゃなくて、どう思ってる……んです?』


『……? 〝す〟げえ語尾だな』


『〝な〟がさないで欲しい、です!』


『……』

『……〝す〟げえやつ?』


『……む……』

『〝つ〟づけて欲しいです』


『え』

『〝す〟げえ頭いいやつ』


『……〝つ〟まり?』

『です』


『いやいやいやいや!』

『〝す〟攻めが無理やりすぎるだろ!?』


『〝ろ〟くでもないことばっかり言うからじゃない、あんたが!』

『せっかく〝す〟で渡してあげてるのに……!』


『……〝す〟?』

『じゃなくて、今回は〝に〟か。えっと、じゃあ……日本一』

『日本一……天才!』


『!』

『……〝い〟いわ、それで』

『仕方ないから、今回はこれくらいで許してあげる!』

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