英明ガールズトーク

「う~ん」

「やっぱり、白雪しらゆきちゃんってすっごく可愛いよね!」

「芸術品っていうか、モデルさんみたいっていうか……」


「……突然ですね、楓花ふうかさん」

「お世辞で褒められても何も出ませんよ?」


「もう、今さらお世辞なんか言わないよ~」

「珍しく篠原しのはらくんがいないから、白雪ちゃんのことじっくり見れるなぁって思って」

「そしたら思わず! って感じだもん」


「なるほど……」

「もしかして口説かれていますか、わたし?」


「そうじゃないよ!?」

「なんていうか……そう、恋バナ! 白雪ちゃんと恋バナしたいの!」

「だってわたしは2-Aの委員長だから!」


「……理由はよく分かりませんが、気持ちは伝わりました」

「ただ、そもそもわたしは異性と接するのがあまり得意ではないので……」

「その点、楓花さんの笑顔はとても魅力的だと思います」

「いつも元気で明るくて、裏表がなくて、誰とでも楽しくお話できて」

「モテないわけがありません」


「え、ええ~? そうかなぁ……」

「白雪ちゃんに褒められると嬉しくなっちゃうけど」

「でもわたしのファンクラブとか、ないよ?」


「普通はありません」


「白雪ちゃんのはあるじゃん!」


「……まあ、はい。確かに、存在くらいは知っていますが」

「ですがそれは、単に知名度の問題かと思います」

「楓花さんは……その、付き合っているかたなどは?」


「いないいない」

「もしいたら、大親友の白雪ちゃんに隠してるわけないってば!」


「ありがとうございます」

「では、好きな方は?」


「うぅ~ん」

「どうだろ……仲良い男の子は何人かいるんだけど」

つじくんとか、篠原くんとか。あとは陸上部のみんなとか」


「なるほど」

「つまり、ご主人様を狙っている――と」


「わわ!」

「違う違う、違うってば!」

「っていうか……実は、あんまり分かんないんだよね」

「みんな大好きなんだけど、友達と恋人がどう違うのか……みたいなやつ」

「ドラマとかでいっぱい勉強してるんだけど」


「ふむふむ……」

「そこまで深く考えなくてもいいと思いますが」


「そうなのかなぁ」

「……それで、白雪ちゃんは?」

「篠原くんのこと……やっぱり、好きなの?」

「男の子として」


「…………」

「……これは、楓花さんにだから言うのですが」

「絶対に、誰にも言わないで欲しいのですが」


「う、うん」

(ドキドキ、ドキドキ……)


「わたしは、ご主人様のことが――……」

「あ」

「そんなことを言っている間にチャイムが鳴ってしまいましたね」


「えっ」


「そろそろ午後の授業の準備をしましょうか、楓花さん」


「え、ええ~!?」

「鳴ってるけど、まだ大丈夫だよ! 10分前の予鈴だもん!」


「ダメです」

「何故なら、楓花さんはこのクラスの委員長なので」


「うう~!」

「チャイムが鳴る時間もちゃんと狙ってたんでしょ!?」

「白雪ちゃんの、いじわる~!!」

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