自由奔放なお嬢様
「
「明日、わたしとデートしていただけませんか?」
「…………」
「何言ってるんだよ、
「誘拐されてることになってる
「下手に出歩いたらマズいって」
「ふむふむ……」
「つまり〝デート自体は嫌ではない〟という理解でよろしいですか?」
「……まあ、嫌かどうかって言われたら嫌じゃないけど」
「デートだけど出掛けるわけじゃない、ってことか?」
「おうちデート、というものがあるそうです」
「わたし、今まで殿方と特別な仲になったことがなくて……密かな憧れがあるんです」
「将来の夢は〝素敵なお嫁さんになること〟なのですが」
「…………」
「あ、何も篠原さんのお嫁さんに……というわけではありませんよ?」
「ふふっ」
「情熱的なプロポーズをされたら、うっかり頷いてしまうかもしれませんが」
「……そういう意味の沈黙じゃない」
「で……それ、具体的に何がしたいんだよ?」
「何でもいいのですが、恋人らしいことがしてみたいです」
「たとえば、ソファに並んで一緒に映画を見たり」
「ほう」
「たとえば、一緒に仲良くお料理したり」
「なるほど」
「それくらいなら、まあ――」
「たとえば、一緒にお風呂に入って同じ布団に
「腕枕をされながらたっぷり愛を囁いてみたり」
「…………」
「――というのは、さすがに冗談ですが」
「篠原さん、もしかして本気にしちゃいましたか?」
「そんなんじゃないって」
「俺には、ちょっとレベルが高すぎる」
「なんと……」
「それは、残念です」
「――わたしは、ちょっとだけ〝本気〟だったのですが」
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